20年たったら
TVをつけてもニュースは毎日同じようなことしか言わないし、ワイドショーも同じ話題ばかり。
なんとなくチャンネルを切り替えていると、アニメをやっていた。
昔からある、妖怪物の子供向けアニメ。
「そういえば、猫は20歳まで年を取ると猫又になるらしいよ。」
雫に向かってからかい半分、言ってみる。
TVの脇の爪とぎ段ボールの上で毛づくろいをしていた雫は、急に話しかけられたせいなのか、びっくりした顔でこちらを見る。
「・・・」(そんなわけないでしょ、馬鹿じゃないの?)
おいおい、舌をしまい忘れてるぞ。
雫も、もう14歳。でもまだ子猫の時のままな気がしている。
長生きしてもらいたいものだ。20年と言わずにもっと。
昔、聞いた歌をちょっと思い出した。
”たったひとつの人生だけど いつも迷いながら歩く出逢いと同じ数だけ人は さよならを言うだろうか・・・”
叶うのであれば、いつまでも一緒にいてほしいと思ってしまう。
私のそんな感傷に気づいたのかどうかはわからないが、雫は私の隣にやってきて座り込む。
背中を向けているが、耳がこちらに向いている。”なでろ”と催促しているのだろう。
頭をなでてやると、気持ちよさげにのどを鳴らす。
「ごろごろ・・・」(くるしゅうない)
その声に癒されながら、リモコンを操作しTVを消した。
もとより見たい番組があったわけではない。
TVを見るより猫を愛でるほうが有意義である。




