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別れ
秋も深まってきた。
今年一番の寒さ。でも、和室はエアコンによって常に暖めている。
その夜。
夜遅く。深夜といってもよい時間。
雫は猫ベッドで寝ている。
今日は一度も目を覚まさない。
私は、ずっと雫の横で様子を見ている。
高木さんも、ハナちゃんもやってきた。
少し苦しそうな息をしている雫。
朝からずっとだ。
見ていてつらい。
やがて、その苦しそうな息は、ゆっくりになってきた。
雫は少し眉間にしわを寄せる。
私は雫の鼻先に指を近づけてみた。
スンスンとハナを動かす。
そして雫は微笑んだような気がした。
しかし、最期に一つ息をして
動かなくなった。
私の頬を涙が伝っていた。
大切な家族。
私は、また家族を失った
声も出さずに涙を流し続けた。
高木さんは私の背中をさすってくれた。
高木さんも涙を流している。
肩を寄せ合い、2人で雫の前で涙を流し続ける。
ハナちゃんが、悲しげに「ナァ」と鳴いた。




