128/132
やがて 雫Side
もう秋なのだろうか。
私は、もう起き上がることがつらくなってきた。
ご主人は、ご飯や水も縁側に置いてくれた。
朝や夜に起き上がって水を飲み、ご飯を食べる。
以前よりたくさんは食べられない。
ベッドに戻って寝る生活である。
ご主人は、よくそばにいてくれる。
気が付くとご主人のにおいがする。スンスンとにおいを嗅ぐとご主人のにおい。安心して眠りにつく。
よく夢を見る。
ご主人と会って、それからずっと一緒にいたこと。
撫でてもらったこと。
遊んでもらったこと。
一緒に眠ったこと。
何時も幸せだった。
とても大切な家族。
ずっと一緒にいてくれてありがとう。
そんな日がしばらく続いたあと、いよいよ体が動かなくなった。
鼻の先に気配を感じる。
スンスンとにおいを嗅ぐ。
ご主人のにおいだ。
私は安心する。
ご主人、ありがとう。
大好きだよ。
そして、私の意識は暗い闇の中に落ちて行った。




