やがて
すっかり秋になった。
今年の夏は昨年より日照時間が短かったが、柿の実はそれなりにおいしく実った。
「おいしいですね。」
高木さんは喜んでいた。
「食べきれないので、誰かにあげてもよいですよ。」
「では、うちの実家に送ってみましょうか。」
もちろん、私の実家にも送る。
雫は、もう起き上がることのほうがまれである。
ご飯や水も縁側に置くようにした。
普段は縁側の猫ベッドで寝ていて、朝や夜に起き上がって水を飲んで、ちょっとだけご飯を食べる。
そして猫ベッドに戻って寝る生活である。
私は、できるだけ雫のそばにいるようにしている。
鼻先に手を近づけると、スンスンとにおいをかいで、安心したようにする。
病院のお医者さんに聞いたが、年齢的なものでどうしようもないとのことである。
ときどき、「ふるる」と鳴くので頭をなでる。
すると、安心したのかまたすぐに眠りに落ちる。
ハナちゃんも心配なのか、よくそばにいる。
夜、縁側で雫がうちに来てからのことを思い出す。
私はいつも雫に心配させてきたのだな・・・。
何かと雫がそばにいてくれて、声をかけてくれた。
もう十数年一緒にいてくれて、助けてくれた。
大切な家族。
ずっと一緒にいてくれてありがとう。




