緑色の庭
お中元ということで大量にそうめんをもらった。
独り者とわかっているはずなのだが、考慮されないこともある。
まぁ、今は高木さんもいるので2人で食べることのほうが多いのだけど。
「今日は、そうめんにしましょうか。」
「そうですね、では薬味を買ってこないと・・・」
「あぁ、大丈夫ですよ。庭にいけばいろいろあるので。」
「庭に?」
一緒に庭に出てもらうことにする。
家の裏手のほうに回ると・・
「ここには毎年シソがたくさん生えるんですよ。」
「うわぁたくさんあるんですね。大葉ですね。」
増えすぎて困るのでかなり抜いているんですけどね。」
シソが10本ほど群生している。
ちなみに花が咲くと固くなるので美味しくなくなる。
「あと、こっちに大量に生えているのはですね・・・」
がさがさと群生している葉をどける。
「みょうがなんですよ・・結構大きくなっている。」
「みょうが・・地面に生えているの初めてみました。」
これだけあれば、昼食には十分だろう。
「ちなみに、そっちにはバジルを植えています。」
「バジルもあるんですか・・その脇のこのツル状の植物はなんですか?」
「春に余ったさつまいもを埋めたので、多分さつまいもだと思います。」
「え・・・さつまいももあるんですか?」
「あと、こっちにはミントやローズマリーもありますよ。ミントティーとかにすると美味しいです。」
「すごい・・たくさんあるんですね・・・」
かなり驚いている様子である。
「あとは、この木はすだちです。まだ身が小さいので食べるには早いですけど。」
「庭があるのって良いんですね・・・いつ来てもきれいな花が咲いていますし、、食べられるものもあるんですね。」
今はひまわりと桔梗が咲いている。
もう少ししたらリンドウも咲くだろうか。
夏はどうしても花は少ないのだけれど。
それでも、この庭では何かしらの花が咲いている。
庭から家の中を見れば、雫とハナちゃんがこちらを眺めていた。
眩しそうに目を細めて。
高木さんは小さく手を振っている。
ハナちゃんは嬉しそうに鳴いたようだ。
鳴き声は聞こえなかったけれど。




