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縁側の猫たち 雫Side
ご主人が庭で水撒きをしている。
眠くて仕方がないが、水撒きを見るのは好きなので眺める。
このキラキラした光は、あの夜のことを思い出させてくれる。
”ししょーししょー。綺麗です!”
”はいはい、そうだね。”
私は、死ということがよくわかっていない。
お母さんのところでも、ご主人のところに来てからも見たことがないのでわからないのだ。
でも、もしかすると奥さんは・・・・
もしそうだとすると死ぬということは、キラキラとした光りに包まれるということなのだろうか?
最近、自分でも以前とは違ってきていることはわかっている。
もしかすると・・・と考える。
その時は、奥さんとまた会えるかな。
リビングからは、掃除機の音がする。それと一緒に鼻歌も聞こえる。
ハナが言う。
”ご主人、機嫌がいいみたい”
”なんで機嫌がいいのかね”
”だって、このお家に来たらいつも機嫌がいいよ。このおうちが好きなんだよ。”
はぁ
すっかり馴染んでしまったわ・・・
太陽に照らされてキラキラ光る水玉を見ながら、奥さんと会えたらなんて言おうかと考えるのだった。




