病院 雫Side
「やはり、年齢からくるものでしょうね。」
ほっといてちょうだい。
無理やり病院に連れてこられた。
ここにはいい思い出がない。
痛いことされた記憶しかないのだ。
この白い服を着た男が特にうらみがある。
「そうですか・・何か気を付けることはあるでしょうか?」
「栄養のあるものを食べさせるようにしてください。あと柔らかいものを増やしたほうがいいかもしれません。」
「そうですか・・」
美味しいものなら歓迎だけど。
最近は前ほど食べられなくなったのよね・・・
「とりあえず、今日は予防接種はなしにしておきましょう。」
「はい。」
それは良かった。早く帰りたい。
「にゃ!」(早く帰りましょ!)
催促してみた。
家に帰ってきて、キャリーから出してもらった。
ようやく解放された。
ケージの前に走っていき、鳴く。
「にゃー!」(お詫びの印におやつちょうだい!)
ご主人は抱っこしてケージの上の段に乗せてくれる。
そして、おやつにささみのフリーズドライをもらった。
これは昔からのお気に入りなのだ。
「それで、病院ではどうだったんですか?」
あの女が聞いてくる。
まだいたのね。
「やはり、年齢的なものだそうです。栄養のあるものを食べさせるように言われました。」
「そうですか・・心配ですね。」
「はい。もっと長生きしてほしいですからね。」
長生きかぁ。
もっと長生きするつもりなんだけどね。
そして、昔聞いた猫又になりたいんだ。
なれるかな・・・
猫又になったら、ご主人とずっと一緒にいられるかな。
なれたらいいな・・・




