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【チラシの裏】僕と彼女たちの小話  作者: 農民
書き初め、試行錯誤中
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平安神宮の内苑で

「なんだ、このデカイ鳥居は」


僕は思わずそう呟いた。


「はぇー、大きいですねぇ」


隣に居た彼女も口を開けて呟いていた。


僕たちは京都にある平安神宮に来ていた。


そこには10階建てのビル程の高さに、車道が4車線と幅のある大きな鳥居があった。


人が通る用では無く、車が通る用の鳥居であった。


「広いですね、美術館もあるみたいですよ」


彼女は周りを見渡しながらそう言った。


「ほんとだね、建物も何か平安っぽいね」


「そりゃあ、平安神宮って名前の所に来てますからね」


僕の間抜けた発言に彼女は笑いながら返してくれた。


「あ、結婚式の写真を撮ってますよ!結婚式もここで出来るみたいです」


彼女は僕と撮影所を交互に見ながらそう言った。


「神社で結婚式とかすごいね、教会のイメージしかなかった」


僕は何も考えずそう答えた。


「和服で結婚式かぁ、いいなぁ・・・でもウェディングドレス着たいし、やっぱチャペルかなぁ」


彼女はぶつぶつ何か言っている。


「有料だけど庭園の中に入れるみたいだから行こう」


僕はせっかく来たので見学しておきたかった。


「いいですね、行きましょう」


彼女もにこやかに賛成してくれたので庭園を見学することにした。




「わぁ、綺麗に管理されてますね」


庭園内部は庭師達が作業をしており、しっかりと管理されていた。


草花の知識が無い僕でも美しい日本庭園に感服した。


「池に蓮の花が咲いてますよ!鯉や亀もいます!」


はしゃぐ彼女の後に僕は続いて行く。


「鯉が近付いてきました!餌を貰えると思っているんでしょうか?」


彼女はしゃがんで鯉に近づき「ごめんねぇ、餌は無いんだ」と言っている。


「お、池に橋があるじゃん。渡ろうか」


池の中に平べったい石を並べて渡れるように橋が作られていた。


「いいですけど、私どんくさいので、手を握ってもらってもいいですか?」


そう言って彼女は恥ずかしそうに右手を差し出してきた。


僕はおもむろに手を握り橋を渡りだした。


「ちょっちょっ、速いです!もう少しゆっくりお願いします!」


彼女は慌てながら僕に抗議してくる。


ゆっくり歩いたつもりだったのだが・・・


僕は1歩ずつ石橋を渡る度に彼女の顔を見ることにした。


彼女は危なげに渡りながらも楽しげであった。


「ふぅ、なかなかスリリングな体験でした」


橋を渡り終えると彼女はそう言った。


そんな事なかっただろ、と思ったものの僕は口には出さなかった。


石橋のある池を越えると、古風の建屋とこれまた雰囲気のある池を跨ぐしっかりとした橋が見えてきた。


「せっかくですから一緒に写真撮りましょうよ!」


そう言って彼女はスマホを取り出した。


彼女の横に立ち、肩が触れるか触れないかの距離で並んだ。


「ほら、笑ってください」


僕はぎこちなく笑顔を作り写真を撮った。


「後で送りますね」


彼女は嬉しそうに自然に笑っていた。

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