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【チラシの裏】僕と彼女たちの小話  作者: 農民
書き初め、試行錯誤中
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伏見稲荷大社を観光

「すごーいっ!大きな鳥居!」


そう言って彼女はスマホで写真を撮り出した。


僕は休日を利用して京都の伏見稲荷大社に来ていた。


視聴していたアニメの舞台として描かれていたので来てみたいと思っていたのだ。


「狛犬の代わりに狐がいる!ほらっ一緒に写真撮ろうよ!」


彼女は僕の腕を引っ張り、狛犬ならぬ狛狐の前に立つと、そのまま僕の腕にしなだれかかり、彼女のスマホで一緒に写真を撮った。


腕から感じる柔らかな感触を楽しみながら僕は思った。


なぜ彼女と一緒に来ているのだろうか?


本当は一人で来るつもりであった。


だがどこからか話を聞きつけた彼女が、自分も一緒に行きたいと言ってきたのだ。


僕は断ることが出来ず今の状況になってしまっていた。


境内の入り口は多くの観光客で溢れかえり非情に賑やかだ。


「こっちの道から千本鳥居みたい!頂上まで登るんだよね!スニーカーにして良かった!」


彼女も周り観光客に負けないくらい賑やかだ。


僕は彼女の元気さを見るたびに1割でいいから分けて欲しいといつも思う。


「ほら、早く行こ!」


彼女は目を輝かせながら僕の手を取って千本鳥居に進む。


彼女のスマホはずっと写真でも撮っているのかカシャカシャ言っている。


「すごいっ!鳥居が一杯ある!」


千本鳥居へ進むと3メートル程の高さの鳥居が回廊となっており雰囲気がある。


「暑いから手離していい?」


「人が多いからもうちょっと繋いでよ?」


彼女は上目遣いで拒否してきた。


このところ続く猛暑でもう汗だくだ。


予報では40℃を越えるそうだ。


「飲み物買うけどいる?」


熱中症対策に水分を小まめに補充する。


販売物が観光地料金なのはご愛嬌だ。


「ううん、大丈夫」


本当に大丈夫だろうか?




山の中腹まで来ると人通りが少なくなった。


僕は喧騒が落ち着きホッとした。


中腹からは小さな社と鳥居が無数に点在していた。


ロウソクや線香が焚かれている箇所もあり雰囲気があってよかった。


「大丈夫?」


僕は完全にバテてた様子の彼女に声をかけた。


「大丈夫じゃない、喉が渇いた」


彼女はしんどそうにそう言った。


「飲み物持ってる?」


「持ってない」


さっき買えばよかったのに、と思うものの声には出さない。


「僕の飲みかけしかないけど、いる?」


熱中症で倒れられても困るので、僕はさっき買った分を彼女の前に差し出す。


「ありがとう」


彼女は水分が補給出来るのが嬉しいのか笑顔で僕のペットボトルを受け取り、口をつけた。


髪を払ってから飲む仕草は少し色っぽかった。


それから僕と彼女は1本のペットボトル飲料を交互に飲み合いならがら頂上を目指す。


登り道なので、彼女が僕の前を歩くとキュートなお尻が目の前で揺れて眼福だ。


ピッチリと肌に張り付いたパンツはくっきりと下着のラインが浮かび上がり、歩くたびに蠱惑に揺れる桃尻へ僕は目を離せなかった。




「やっと着いたー、頂上だよ!」


ゴールに着いた達成感からか彼女は元気を取り戻した。


頂上はあまり広くはなかったが人も疎らだった。


「見て!自販機の値段がすごい!一番高い!」


確かに自販機の値段はここに来る途中にあったものと比べて一番高かった。


登るにつれて段々と値段が上がっていく自販機は少し面白かった。


「ほら、写真取るよ!」


彼女に引っ張られ社の前で記念撮影をする。


引っ付いてくる彼女から甘い香りがした。きっと桃の香りであろう。


彼女のスマホの充電が心配になるほど写真を撮り、二人で参拝する。


それからアニメに描かれていた描写との差異を楽しみながらゆっくりとした速度で見て回る。


僕は非情に満足にしたが、彼女は少し退屈そうだった。


「そろそろ降りよ?お腹が空いたよ」


「そうだね、いなり寿司を食べに行こう」


「名物で雀の丸焼きもあるんだって!食べてみようよ!」


彼女に引っ張られ僕たちは下山する。


坂道の下りは膝への負担が半端なかった。

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