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【チラシの裏】僕と彼女たちの小話  作者: 農民
高校生エッチなイチャ甘ラブコメ メイン
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体育の日

「体育の日だぁ!」




彼女は市民公園の入り口で、ご機嫌に跳び跳ねながら言った。




「晴れて良かったよ、運動会日和だね」




今日は市民運動会に参加するため、彼女と一緒に運動公園まで足を運んでいた。




「うっひょおーっ!屋台まで出てる!テンション上がってきたぁ!」




人通りで溢れる公園の入り口には小数ながら屋台が出店されており、


さながら縁日のような賑わいをみせていた。




「活気があるね」




行き交う人々は老若男女様々だが、みんな一様に笑顔でやる気に満ち溢れており、


普段は寂しい市民公園も、都会の街と変わらないくらいの盛況さだった。




「私もやる気出てきたぁ!一緒に頑張ろうねっ!」




彼女は元気一杯の笑顔を僕に向けてきた。




「やるからには勝ちに行こう」




一際輝く彼女の笑顔に、僕もつられて笑顔になった。




「それじゃあ、まずはタコ焼きから食べに行こうっ!」




彼女は僕の腕を掴んで、タコ焼き屋の屋台へ向かおうとする。




「待って、ちょっと待って、


プログラムだと最初の方にリレーがあるんだけど」




いい笑顔の彼女だが、これから激し目のスポーツをしようという時に、


何かを食べる事を避けたかった僕は、全力でその場に留まろうとした。




「それがどうしたのぉ?一杯食べて、力を付けないとぉ」




彼女は僕の考えとは正反対のようで、


不思議そうな顔をして可愛らしく小首を傾げた。




「腹に物入れて走ったら、リバースしちゃうよ」




僕は自分の考えを彼女に伝え、何とか説得しようと試みる。




「えぇーっ!そんなぁ、こんなに良い匂いがするのに、食べれないなんて辛いよぉ」




彼女は半べそをかきながら、


ほっそりとした、くびれがよく見てとれるお腹を押さえた。




「朝ごはんちゃんと食べた?」




朝の早い時間からお腹が空くなんて、朝食を抜いた事以外に考えられなかった。




「ちゃんと食べたよぉ、気合いを入れるためにトンカツにしたんだぁ」




彼女は気負い無しに、テヘヘと笑いながら頭をかいた。




「朝から揚げ物か・・・ガッツリ食い過ぎだよ」




正直、ガッツリ食べ過ぎてて、聞いてる僕がお腹一杯になってきた。




「あぁー、お腹が空いてきたぁ」




彼女は本気でそう言っているようで、僕は目を皿にして彼女を見てしまった。




「どれだけ食べるんだ・・・」




僕は驚愕して思わずそう呟かずにはいられなかった。




「食欲の秋!」




彼女はお茶目に舌を出しながらサムズアップしてきた。




「それなら仕方ないね」




結局、タコ焼きを1パック買って、二人で仲良く分けあって食べた。




------




「横っ腹イテェ・・・」




リレーを終えた僕は、


運動会用に設けられた休憩スペースのレジャーシートに、


腹回りを押さえながら寝ころんだ。




「格好良かったよぉ、一番だったじゃん」




彼女はニコニコしながら、僕の健闘を称えてくれた。




「久し振りに全力で走ったよ」




僕は呻きながら、腹もそこそこにふくらはぎも揉んでストレッチをした。




「これもタコ焼きパワーだねっ!」




彼女はいい笑顔で親指を立ててきた。




「そのタコ焼きさんが、今にも口からコンニチワしそうなんだけど・・・」




少々グロッキー気味の僕は、割りと冗談ではなく彼女に言った。




「お出口はあちらでお願いね!」




彼女は笑顔のまま、トイレを指差した。




「優しく介抱してくれないんですかねぇ」




僕はジト目で彼女を見つめた。




「あっ!次ムカデ競争だって!参加しよぉ?」




僕の言葉を華麗にスルーした彼女は、プログラムを見て提案してきた。




「もうちょっと休憩したかったなぁ」




僕は筋肉痛で重く感じる身体を無理矢理起こし、


彼女と一緒に受付に向かったのだった。




------




「私っ、一番前がいいでぇすっ!」




彼女は受付で、いの一番に元気良く手を挙げて宣言した。




「すいません、彼女の連れです」




僕は周りの目を気にしながら、小さく手を挙げた。




「やったぁっ!一番前だよぉ!」




周りの人たちの好意から、彼女が一番前で、僕がその次になった。




「よかったね」




周囲から生暖かい目で見られたのは、ご愛嬌だった。




「頑張るぞぉ!おーっ!」




彼女の掛け声と共に、僕たちは競技場へ入場する。




彼女に続いて歩いたのだが、


前方を歩く彼女の後ろ姿に、


僕は目を奪われていた。




運動しやすいように結った後ろ髪はショートポニーテールになっており、


歩く度に左右に揺れる様は猫じゃらしのようで、


僕は玩ばれる猫の気持ちになった。




汗をかいて肌にピッチリと彼女の桃尻に張り付いたアウターレギンスは、


パンティどころか尻肉のラインまでクッキリと浮かび上がっており、


非常にエキゾチックだった。




足に乗っかった尻肉はプリッとしており、


太ももから大きく出た肉の部分が影を作る様は圧巻の一言に尽きた。




パンティラインの浮かび上がった魅惑のレギンスは、


少し尻の割れ目に食い込んでおり、


歩く度にプルンプルンと右に左にと大胆に揺れる尻肉は、


エロスの塊でしかなかった。




「やったぁっ!一番だぁ!」




彼女の雄叫びに僕はハッと我に返った。




彼女の尻を夢中で見続けていて、気がついたらゴールして競技が終わっていた。




自分がどうやって歩いていたのかも覚えておらず、


蠱惑的な魅力を放つ彼女の尻に、


僕は戦慄を感じられずにはいられなかった。




正直、永遠と眺め続けてられるな、と僕は思った。




「そろそろお昼だし、戻ろぉ?」




放心状態の僕に、彼女は上目づかいで下から覗きこみながら言ってきた。




「そうだね、どうする?屋台物でも食べる?」




未だに彼女の躍る尻が脳内を駆け巡っている僕は、


しどろもどろになりながら彼女に返答した。




「お弁当作ってきたから、一緒に食べよぉ」




彼女はニコニコとしているが、少し照れているのか、


その艶やかな髪をしきりに撫でていた。




「えっ!?もしかして、手作り?」




まさか、お弁当を作ってきてくれているとは夢にも思わなかった僕は、


大袈裟に驚き、今まで脳内で躍っていた彼女の尻が、


一気に吹き飛ぶくらいの衝撃を受けた。




「そうだよぉ、早起きして頑張ったのぉ」




そう言って彼女は誇らしげに胸を張った。




「料理できたんだ」




胸を反らした事により、彼女の豊かな乳房はたゆんたゆんに揺れ、


僕はそれをガン見しながら思った事を口にした。




「失礼なっ!これでも料理は得意な方なんだよっ!」




僕の無礼な発言に、彼女はプリプリと怒りだした。




「ごめんごめん、どうかこの哀れな唐変木に慈悲をお恵み下されないでしょうか?」




頬を膨らませて怒りをあらわにする彼女に、僕は平謝りしながら許しを乞うた。




「しょうがないなぁ・・・どうしてもって言うならいいよぉ」




彼女は腕を組み、どこか僕を試すような視線を送ってきた。




「どうしても、君が作ったお弁当が食べたい!」




僕は彼女の前でパンッと音を立てて勢い良く両手を合わせ、拝むように頭を下げた。




「そこまで言うなら、ご馳走してあげるぅ」




ようやく彼女に笑顔が戻り、昼食をご相伴あずかる許可がおりた。




------




「お重箱じゃん、すごい」




じゃじゃあーんっ、と言って彼女が取り出したのは、


見事な意匠が凝らされた、少し小さめの三段重だった。




「やっぱ運動会と言えばお重でしょっ!」




僕の反応に気を良くしたのか、彼女は得意げに、ふふんと鼻を鳴らした。




「至れり尽くせりだね」




彼女はテキパキと皿やお箸、おしぼりにお茶まで手際よく準備する様子を見て、


僕は感嘆の声を溢した。




「用意出来たぁ!それじゃ食べよぉ?」




そう言って彼女はお重の蓋を開けた。




「わぁっ!すごい!」




僕はあまりにもの豪華さについ声を上げてしまった。




三段重の中身は色とりどりのおかずで鮮やかに彩られており、


見るからに食欲を刺激された。




冷凍食品など一切見当たらず、


手間暇かけて作られた事がありありと感じられた。




「どうぞ、召し上がれぇ」




彼女に促され、僕は箸を取った。




「頂きます!」




まず箸に取ったのは、綺麗に揚げられた鳥の唐揚げからだった。




口に含んだ瞬間、つけだれが染み込んだ肉が口一杯に広がり、


冷めても美味しく頂けるよう工夫がされていた。




彼女の手のひらサイズに握られた小さめのお握りは、


様々な味付けがされており、


ワカメにユカリ、高菜や昆布と何から食べようか迷うくらい、


どれも美味しそうだった。




「美味しい?」




彼女は少し不安そうに、小首を傾げながら上目づかいで聞いてきた。




「どれも美味しいよ!」




夢中で頬張る僕は、満面の笑みで答えた。




「よかったぁ」




彼女はどこかホッとしたように胸を撫で下ろし、


ニコニコとしながら自身も箸を進めた。




「ご馳走さまでした!すごく美味しかったよ!」




美味しすぎてアッと言う間に完食した僕は、彼女に礼を言った。




「もぅ、ご飯粒ついてるよ?」




そう言って彼女は僕の頬に触れ、


全然気がつかなかったご飯粒を手に取ると、


そのまま自身の小さな口に入れた。




「ごめんごめん、あまりにも美味しすぎて」




僕は少し照れて頭をかきながら、彼女が差し出してきたお茶を口に含んだ。




「お粗末さまでしたぁ」




ニッコリと微笑みながら片付けをする彼女に、僕は言葉なく見とれていた。




「あぁー、満腹で眠くなってきた」




僕は見とれていた自分が急に恥ずかしくなり、


寝転んで胸の内から沸き上がる何かを誤魔化した。




「食べてすぐに寝るとブタになっちゃうよぉ」




彼女は冗談っぽく笑いながら、自身の膝をポンポンと叩いた。




「え?膝枕してくれるの?」




僕は思わぬ幸運に、思わず頭を上げて彼女に聞いた。




「おいでぇ」




彼女は慈愛に溢れた笑みで、僕を誘ってくれる。




「それでは、失礼しまぁす!」




僕は彼女の膝にゆっくりと頭を乗せた。




弾力のあるムチムチとした太ももの感触と、汗で匂い立つ彼女の香りと共に、


グラウンドから吹いてくる風に乗ったお日様に焼かれた土の薫りに心癒されながら、


僕はこんな贅沢をしていいのかという気持ちになった。




「少し眠るぅ?」




彼女は慈しむように、僕の頭を優しく撫でながら言った。




心地好い空気に、微睡む僕は思った。




彼女の手作りお弁当の中で一番美味しかったのは、


恐らく彼女が朝食で食べたであろう、ロースカツだったと。

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