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後夜祭
「体育祭、出来てよかったね」
「副会長が頑張ったわ」
「すごい熱意だったね」
「まさか生徒を巻き込んで教師を説得するとは思わなかったわ」
「リレーの時もヤバかったよ、途中で転けちゃってメガネが吹っ飛んでも走り抜ける姿に僕は感動を覚えたね」
「何が彼をそこまで突き動かしたのかしら?」
「君に良いトコ見せたかったんだと思うよ」
「そんな事しなくても、彼が真面目に生徒会活動に取り組んでくれている事は知っているのに」
「そういう事じゃないと思うよ」
「どういう意味よ?」
「副会長も漢だってことさ」
「男の人ってよく分からないわ」
「それでいいんじゃない?」
「でもまさか、後夜祭までやるとは思わなかったわ」
「父兄に消防局長がいると強いよね」
「もう完全に私の手を離れているもの」
「ボロボロになりながらも副会長が陣頭指揮を執っているものね」
「彼、いつもと雰囲気違うわよね?」
「普段はなに考えてるか分かんない感じだけど、ひび割れたメガネをかけながら楽しそうな顔で人と喋ってる姿は親しみを持てるよね」
「そうね」