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【チラシの裏】僕と彼女たちの小話  作者: 農民
高校生エッチなイチャ甘ラブコメ メイン
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体育祭の中止

「体育祭、中止になったね」




僕は生徒会室で窓から激しく降る雨を見ながら彼女に言った。


「仕方ないわ、台風だもの」


僕と同じく窓の外を眺める彼女はどこか残念そうな表情をしていた。


「今年は台風よく来るね」


彼女と二人どしゃ降りの雨を見ながら僕は言う。


「困ったわ」


彼女は綺麗に整えられた柳眉を下げ、雨を眺め続けていた。




「ん?あれ?なんかテント出しっぱなしじゃない?」




降りしきる雨で見えにくいが、グラウンドには体育祭用に設置したテントが


骨組みを立てたままの状態で残されているのが窓から確認できた。




「・・・本当ね、不味いわ」


彼女も確認したのか、腕を組み眉間にシワを寄せ、難しい表情をした。


「風で飛んだら危ないから片付けてくるよ」


僕は彼女を安心させるように彼女の肩を軽くポンと叩き、優しい声を心掛けて言った。




「貴方一人では危ないわ」




彼女は心配そうにその大きくパッチリとした瞳の目尻を下げ、


僕の腕を掴んで引き留めてきた。




「運動部が何人か来てたから、そいつらと一緒にやるよ」


僕は引き留めてくる彼女の手に自分の手を当て優しく握る。




吸い付くようなすべやかな肌触りの良い彼女の手からは


僕を心配するように暖かな体温が伝わってきた。




「私も行くわ」




握り返してきた彼女の手は力が込められており、


僕を見つめてくる美しい瞳は使命感に満ちていた。




「男の仕事だよ、僕に任せてくれないかな?」




僕はおどける様に陽気な笑顔をしながら、


ゆっくりと彼女と握り合った手をほどいた。




「貴方に任せるわ」




彼女は数瞬まぶたを伏せた後、微笑みながら僕を見つめ言った。


「すぐに戻ってくるよ」


僕は肩を回しながら生徒会室の扉に手をかけた。


「気をつけて、いってらっしゃい」


小さい手を振りながら微笑む彼女に見送られながら、僕は生徒会室を出た。










「ただいまー、ってこれまたスゴいお出迎えだね」




グラウンドに放置されたテントを片付け、


びしょ濡れになった制服から体操服に着替えて生徒会室に戻ると、


彼女はチアガールのコスプレをして僕を迎え入れてくれた。




「お帰りなさい、大変だったでしょう?助かったわ、ありがとう」


労いの言葉をかけてくる彼女に、照れの文字は一切無かった。




「たまに予想の斜め上を行く君の行動力は好きだよ」




たぶん、僕が外で雨の中四苦八苦している内に、彼女なりの葛藤の末、


痴女チアガールコスプレに辿り着いたのだろう。




「寒いわ」


彼女は自身の腕を擦りながら身を縮めていた。


「そりゃ、この時期にノースリーブへそ出し素足ルックならねぇ」




彼女の風通しのよい格好を見ていると、今の僕は興奮よりも


雨に晒されて冷えた体が余計に肌寒く感じられた。




「喜んでくれないの?」


彼女は不安そうに上目づかいで僕の顔を覗きこんでくる。


「流石に君の体を心配するよ」


どこまでも真面目な彼女に僕は苦笑を禁じえなかった。




「これでも恥ずかしいのよ」




苦笑いする僕に、彼女はその可愛らしい頬を膨らませて、


少し拗ねたように怒ってきた。




「ごめんごめん、君は十分に魅力的だよ」




僕は彼女をなだめつつ、


ぷっくり膨らんだ彼女のプニプニとした頬をツンツンと軽く突ついた。




「もう、くすぐったいわ」


彼女の色白の肌には紅潮した朱が映え、さながら一足早い紅葉のようだった。




「くしゅんっ!」




彼女と良い感じにイチャついてると、間が悪いことに僕はクシャミをしてしまった。




「あらやだ、体が冷えきってるじゃない」




彼女は僕の体をあちこち触り、イスに座るよう促してきた。


「雨の中の作業は堪えました」


彼女から指摘され自覚したのか僕は急に寒気を感じ、ガタガタと体を震わせた。


「困ったわ、暖める物も無いし・・・そうだわ」




何を思ったか彼女はイスに座る僕の膝に跨がり、正面から抱きしめてきた。




突然の彼女の大胆な行動に僕はドギマギした。




彼女は僕の首に手を回してピッタリと密着し、


熱を計ろうとしているのか、おでこをくっつけてきた。




「たまに思いきったことするよね」




甘い香りと共に彼女の柔らかさ、何より暖かさを全身で感じながら僕は言った。


「寒くない?」




互いの吐息が感じられる距離で、彼女は労るように優しく問いかけてくる。




彼女の瑞々しい唇から零れる吐息は甘く、


つい吸い寄せられて触れ合いたい衝動に駆られる。




「一部に血液が集中してます」




彼女の妖艶な肢体に触れ、


僕の下半身は今まで感じたことが無いくらい熱くなっており、


全身の血液が集まっているのではないかと錯覚してしまう程だった。




「確かに、硬くなってるわね」




そう言って彼女は顔をおでこから外し、


僕の耳元へ意味深にその甘い吐息を吹きかけてきた。




「どうする?このままイれちゃう?」




彼女は艶やかに囁き、僕の耳を犯す。




僕に正面から跨がった彼女と僕の下半身を隔てる物は薄い布がたったの三枚で、


血液が集まり過ぎて窮屈さで痛くなってきた僕の下半身からは


僕以上の熱さが彼女から感じるような気がした。




「破れちゃうぅ!せっかくテントを片付けたのに、僕のテントが破れちゃうぅ!」




僕は堪らず叫ばずにはいられなかった。


「あら、それはマズいわね」


そう言って彼女はカラカラと笑い僕から離れていった。


「どう?暖まった?」


彼女はイタズラっぽく笑いながら上目づかいで僕の顔を覗きこんできた。


「すごく暖まりました」


僕は当分の間、立ち上がることが出来なかった。

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