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【チラシの裏】僕と彼女たちの小話  作者: 農民
書き初め、試行錯誤中
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心の余裕

「ドライブに行こう」


彼女にそう誘われたのはちょうど暇を持て余していた土曜の昼であった。


「いいよ、昼飯は食べた?」


僕は特に何の準備もせずに財布と携帯だけ持って外に出た。


「あれ?車、買い換えたんだ」


彼女の車は以前見たことのある軽自動車では無く、真新しい真っ赤なスポーツカーになっていた。


「ふふんっ、どうだ、カッコいいだろう?今日受け取ってきたんだ」


どうやら新しい玩具を自慢したくて僕に連絡してきたのだろう。


確かにかっこいいのだが車に興味の薄い僕は別の点が気になってしまった。


「車高低すぎない?どうやって乗るの?」


ちょっとした坂道だとフロントバンパーが当たってしまうのではないだろうか?


「もうちょっと反応してくれてもいいのに・・・いいか?乗るにはちょっとしたコツがいるが、普通に乗れるよ」


僕は初めて乗る車高の低いスポーツカーに四苦八苦しながらなんとか車に乗り込んだ。




それは突然に起こった。


昼食後、車の窓を開けると閉まらなくなったのだ。


最初は僕が座っている助手席側だけだったが、彼女の運転席側も同様に閉まらなくなった。


それまで笑顔で饒舌に語っていた彼女は急に無口になり、一通りネットで対策を調べた後、車屋に電話していた。


彼女はピリピリしており、一緒に居て気まずい。


「すまない、少しトラブルでね・・・このまま車屋に直行するから近くの駅に送ってもいいかな?」


彼女は無表情で僕に言ってきた。


非常に怖かったので、僕はなるべく優しい声色を心がけ答えた。


「もちろんだよ、何も手伝えなくてごめんね」


「いや・・・この埋め合わせは後日に」


駅まで送ってくれた彼女と別れる。


居心地の悪い空間から解放された僕は人心地ついた。


彼女は余裕が無くなるとああなるのか。


僕も余裕のある行動を心がけたいものだ。

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