バトミントン
「バドミントンしよぉ」
昼休みの昼食後、さぁ一眠りするかというタイミングで、彼女はニコニコしながら声をかけてきた。
「いいと思うけど、道具が無いよ?」
羽とラケットが無ければ球技は出来ないだろう。
乳に栄養をとられ過ぎて、彼女はそんなことも分からないのであろうか?
「バドミントン部から借りてきた!」
そう言って彼女は笑顔で二本のラケットと羽を僕に見せつけてきた。
「よく借りれたね」
超体育会系のバドミントン部が道具を部外者に易々と貸すとは到底思えなかった。
「部長の目の前で胸を揺らしてお願いすればイチコロよ!」
彼女は胸を反らし、僕の目の前でその大きな乳房を揺らした。
「あざといなぁ」
ポヨンポヨン揺れる彼女の乳をガン見しながら、
僕はバドミントン部の部長も漢だったか、と思いを馳せた。
「それより早くしよ?」
彼女は前屈みになり、上目使いで僕を誘ってくる。
「そうだね、僕の華麗なラケット捌きを見せてあげるよ」
僕は立ち上がり腕を回す。
「ふっふーん!じゃあ勝負して負けたらジュースおごりね」
「受けてたとう」
僕らは肩を並べてそれぞれ筋肉を解しながら、校庭へと歩き出した。
「いくぞぉ!」
彼女はラケットを構え、今まさに僕めがけて打ち込もうとしていた。
運動をするために袖をめくり、
髪を後ろで結ってショートポニーにしている姿から彼女の本気具合が伺える。
「手加減はしないよ」
僕も腰を落とし、どんな球が来ても対応出来るよう構える。
「うりゃあ!」
彼女は腕を鞭のようにしならせ勢い良く球を打ってきた。
「ちょっ、はやっ!」
お世辞にも運動神経が良さそうには見えない彼女の思わぬ一撃に僕はたじろんだ。
何とか打ち返したが、力加減を誤り球は彼女の頭上を大きく越えて、遥か後方の地面に落ちた。
「やーいっ!へたっぴぃ!」
彼女は嬉しそうに笑いながら僕を煽ってくる。
「今150キロぐらい出てたよね?うちの野球部のエースより速かったよね?」
バドミントンのプロ選手で200キロを出すと聞いたことがある。
「私、甲子園級なの」
ふふんと満足げに笑い、彼女は胸を張った。
たわわに実ったお胸様が誇らしげに揺れる。
確かに胸囲を競う甲子園大会があれば、彼女は優勝候補間違いなしだろう。
「こいつぁ面白くなってきたぁ」
キャッハウフフの緩いバドミントンを想定していた僕は謎のスイッチが入り、
腕まくりをして唇を舐めた。
「手加減してあげようかぁ?」
彼女はニヤつきながら僕を挑発してくる。
「上等だ!」
それから僕と彼女の激しいラリー合戦が始まった。
一進一退の攻防の中、勝負は徐々に白熱していった。
パワーとスピードは男である僕の方が優勢であったが、
彼女はテクニックによる柔軟性と緩急をつけた配球で僕を翻弄した。
特に激しく動く彼女に合わせて彼女の乳房も連動して上下左右に揺れ動き、
さながら踊る魔乳と化して僕の視線を誘導する作戦には随分苦戦させられた。
「はぁっ、はぁっ、なかなかやるわね」
「はぁっ、はぁっ、君もね」
僕らは息も絶え絶えに、汗だくになりながらお互いを称え合う。
「時間も無いし、次で最後にしよっか?」
「そうだね、サーブ権は譲ろう」
「後悔しても知らないよ?」
「決めてみせるさ」
僕らは見つめ合いながら互いにニヤリと笑った。
数瞬、見つめ合っていたが、ふとした瞬間、彼女が無表情になった。
来る!
僕は深く腰を落とし、臨戦態勢をとった。
彼女は高く空に球を放り投げると、大きくのけ反った。
踏み込んだ足のふとももが激しくたわむ。
瑞々しい汗がハリのある肌に弾かれて宙を舞った。
彼女は渾身の力で必殺のスマッシュを放とうとする。
その姿は大和弓のようで美しかった。
そして今まさにラケットが振り抜かれ、インパクトの瞬間、
彼女のブラウスのボタンが弾け飛んだ。
露になる彼女の胸元は激しいモーションにより、
乳房とブラジャーの間に空間が出来ており、
キメ細やかな白い肌とは別に、桜色の何かが見えた。
僕は全神経を視力に集中させ、その桜色の何かを真剣に見ようと注力した。
視界がスローモーションになり、
宙を舞ったブラウスのボタンがゆっくりと地面に落ちる中、
白色の物体が僕の横を通り過ぎた。
「やったぁーっ!私の勝ちぃ!」
僕の横を通り過ぎたのはバドミントンの羽であった。
僕は固まりながらもコロコロと転がるバドミントンの羽に視線を向けた。
視界はもう普通に戻っていた。
「完敗だよ」
もう見えなくなった彼女の胸元を惜しみながらも、
跳び跳ねて喜ぶ彼女の笑顔を見て、僕は両手を上げてそう呟いた。