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シルクスイート
「あ、焼き芋屋の屋台がある」
学校の帰り道で彼女はめざとく食べ物屋を発見した。
「今まであった?」
昨日までの帰り道に焼き芋屋の屋台なんて無かったはずだ。
「今日から始めたんじゃない?ほら、秋だし」
彼女は既に買う気満々なようで財布の中身を確認している。
「シルクスイートだって、聞いたこと無い芋の名前だね」
「スイートって名前だけで甘い感じがする!」
彼女は目を輝かせよだれを垂らしている。
「でも焼き芋ってぼそぼそしたイメージなんだよね」
「それは分かる、でもシルクだよ?」
シルク、と言う言葉を聞いて確かにぼそぼそとした印象より、きめ細やかなイメージを受ける。
「とりあえず、当たるも八卦当たらぬも八卦の精神でチャレンジするしかないね」
「私の感はめちゃうまと囁いている!」
彼女は足早に焼き芋屋の屋台に近づいて行った。
屋台のオヤジは手ぐすね引いて待っていた。