41/169
雨が止んだ
「やっと雨が上がったよぉ!」
放課後の帰り道で彼女は水溜まりをジャンプして避けながら言った。
「ようやく止んだね」
先週末から降り続いた雨は今日の夕方になりようやく降り止んだ。
「あっ、夕日が出てる!ひさしぶりの太陽だ!」
曇天が続いた空には秋らしい茜色の夕日が目映く射し込んでいた。
「あれ、虹じゃない?」
「うそ!?どこどこ?」
夕日に照らされた空には綺麗な虹が射していた。
「ほら、あそこ」
僕は虹が射す方向を指差したが彼女は僕と目線を合わせるためか僕の肩に顔を乗せてきた。
「あーっほんとだ!キレイ!」
虹に見とれる彼女だが、僕は完全に密着している彼女に見とれていた。
彼女の甘い香りが鼻腔をくすぐり、触れた彼女の頬は絹のような肌触りでどこか熱いくらいの体温を感じた。
たぶん彼女と密着しているせいでドキドキして僕の体温が上がっているからだろう。
「こうしていると暖かいね」
間近で彼女が照れたように笑う。
その頬は夕日の色より、少しだけ赤かった。