当たりの店
「適当に入ったら割にはいい感じの店だね」
僕と彼女はディナータイムに当てもなくさまよっていたが偶然入った店に当たり感を感じていた。
「そうね、内装もオシャレだし、ライティングもムーディーね」
「ピザおすすめのイタリタンだね、ワインにする?」
「私も飲むからフルボトルで頼みましょうか」
「そうだね、赤?白?」
「趣向を変えてスパークリングにしましょう」
「スパークリングか、炭酸お腹膨れない?」
「どのみちお腹は膨れているわ」
「僕もあんまりお腹空いてないな」
僕たちは遅めの昼食をとったこともあり、あまりお腹は空いていなかった。
「ピザはこの、究極のピザってやつにしましょう」
「え、ピザ食べるの?お腹に入る?」
お腹が膨れていると言っていた彼女が炭水化物を食べる気を見せて僕は驚いた。
「アルコール飲んでたらお腹空いてくるでしょ?」
「まぁ、可能性は充分にあるけど、その究極のピザってなに?」
「たぶん、究極なのよ」
「究極の大きさだったらどうする?食べきれるかな?」
「頑張ってね」
「一緒に頑張ろうよ!」
「貴方の男が見たいわ」
「頼むから質が究極であってくれ!」
僕の願いが届いたのか、運ばれてきたピザは質の高いマルゲリータだった。
「あら、美味しそうね」
「熱いうちに食べようか」
釜で焼かれた芳ばしい生地に水牛のモッツァレラにトマトペーストがマッチしており、非常に美味だった。
「美味しいわね」
「美味しいね」
僕たちはピザを食べ笑いあった。
「このピザ、このワインに合うわね」
「度数高いけど、グイグイいけちゃうね」
ピザを食べた後、ロゼのスパークリングワインを口に含むと甘味あるスパークリングワインの風味が広がり幸せな気持ちになった。
「あー休日を満喫してるわ」
「ここまで満喫する休日もなかなか無いね」
オシャレな内装の店でゆったりとワインを傾けながら食事をする。
贅沢な休日の過ごしてると思った。
「最後の一切れもらうわね」
「何しれっと食べてるの!?ちょっとは相談しようよ!」
「私、遠慮の塊とか嫌いなの」
僕の抗議に彼女は澄ました顔で答えた。
「お腹一杯だと思ったけど、案外ペロリと食べちゃったわね」
「量が究極じゃなかったからね」
「でももう満腹、満喫致しました」
「僕も腹パンパンだよ」
「この店は当たりね」
「そうだね、次も使おうか」
僕と彼女はワインを傾けながら至福の時間を過ごすのであった。