小悪魔の誘惑
「始業式の挨拶、良かったよ」
僕は生徒会室で佇む彼女にそう声をかけた。
「そう?みんな何も反応してくれないから、あれでいいのか判断出来ないわ」
彼女は手のひらを顎に置き、悩んだ素振りを見せた。
「英語でスピーチすればよかったのに」
僕はおどけて彼女に言う。
「ポカンとされるだけに決まっているわ」
彼女は呆れた表情で僕を見てきた。
「この豚ども!って出だしはどう?」
僕は期待して彼女を見た。
「それで喜ぶのは貴方だけよ」
彼女は鼻で笑って僕の意見を一蹴した。
「やっぱりその長いスカートが原因なんじゃないかな?」
僕は批評家のように腕を組み、ウンウン唸る。
「前に言われて短くしたけど、ギョっとされただけだったわ」
彼女はジト目になり僕を見つめてくる。
「やっぱりもっと短くするべきだったんだよ」
僕は調子に乗って冗談混じりに言う。
「・・・ちょっとこっちに来なさい」
僕の冗談に、若干目が座りかけてきた彼女が言った。
「なに?」
僕は彼女の座っているイスの前までやってきた。
「座りなさい」
「えーっと、君の膝の上でいいかな?」
僕はおどけて言った。
「床に座りなさい」
彼女は完全に目が座っていた。
「はい」
歯向かうのが怖かったので、僕は大人しく彼女の言う通り床に胡座座りした。
「正座」
冷たい声色で命令された僕は、粛々と床に正座をした。
「貴方の意見は欲望にまみれているわ、私をふしだらな女にしたいの?」
脚を組みながら僕に説教をしだした彼女は少し怒った表情をしていた。
「私が他の男子から、いやらしい目で見られてもいいの?」
前のめりになりながら彼女は僕に言い聞かせる。
僕は相槌を打ちながらも、眼前に見える彼女の脚に気をとられて話半分にしか聞いてなかった。
黒のストッキングに覆われた彼女の美脚は、
その陶磁器のような肌の白さを引き立て、妖艶な色気を纏っていた。
脚が組み変えられる度に左右に流れる魅惑の脚線美に僕は目を奪われた。
惜しむらくは彼女のスカート丈が膝下であろうことか。
スラリと伸びた彼女のカモシカのような脹ら脛を眺めるのも眼福だが、
やはり先も見たいと思うのが男心であろう。
これがミニスカートなら、さぞかし絶景が見られたことであろう。
「・・・聞いてないわね」
僕の視線に気づいたであろう彼女の声色はキレ気味だった。
「はぁい!聞いてませんでしたぁ!」
僕は明るく正直に答えた。
「お仕置きが必用なようね」
そう言って彼女は上履きを脱ぎ、足裏を僕の顔にグイグイと押し付けてきた。
突然のご褒美に、ストッキングの滑らかな感触を全力で楽しむため、僕は顔に全神経を集中させた。
深呼吸を繰り返し、ストッキング越しに彼女の香りを少しでも多く吸い込もうとする。
「なに鼻息荒くしてるの?」
そう言って彼女は足裏で僕の顔を撫でた後、足先でつんつんと僕の顔を甘くつつく。
ストッキングの滑らかな感触の中に、先縫い部分のザラザラした感触が緩急をつけて僕を刺激する。
厚みの薄い透けたストッキングの先縫い部分から彼女の美しい足指がのぞく。
綺麗に整えられた爪先はマニキュアでコーティングされており上品なイメージだが、
黒の薄い透けたストッキング越しからの眺めは、どこか妖艶な印象を受けた。
「もぅ、くすぐったいわ」
そう甘く彼女は呟いて、僕の頬に足裏を当てた。
眼下には先縫い部分の濃い黒のラインが広がり、
その先に薄い透けた黒のストッキング越しに、
彼女の美しい白い足指が誘うように踊っていた。
「舐めたい?」
彼女は妖艶に微笑み、僕を誘惑する。
「ぶひぃいいっ!」
僕は興奮し過ぎて、もはや人語を話す事が困難になっていた。
「だぁめ、お仕置きなのよ?」
彼女はクスクス笑いながら意地悪をする。
「そこをなんとか!」
僕は目を血走らせ、彼女を拝む。
「んぅそうねぇ、今度のテストで10位以内に入ったら考えてあげる」
彼女はいたずらっぽく微笑みながら無理難題を僕に課してきた。
「その時はミニスカでお願いします」
僕は試練に挑む勇者のような清んだ眼差しで煩悩全開なお願いをした。
「叶えられるものならね」
僕に誘惑の試練を与える彼女は、正に小悪魔だった。
「ぶひぃいいっ!」
僕は小悪魔の誘惑に奮起し、人語を忘れるのであった。