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【チラシの裏】僕と彼女たちの小話  作者: 農民
高校生エッチなイチャ甘ラブコメ メイン
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肉の日

「肉の日だぁ!」




学校食堂で順番待ちをしていたら、突然彼女が腕を振り上げて叫びだした。


「イェーイッ!」


僕はとりあえずノリに乗ってみた。




「毎月この日だけの特別メニュー!ステーキ大盛り丼が食べたいかぁっ!?」




何が彼女を突き動かすのか、明らかにテンションがおかしい様子で腕を突き上げ続ける。




「食べたいぞぉっ!」




僕も彼女に合わせて腕を振り上げて叫ぶ。




「この時のために腹は空かせてきたか!?朝食は抜いたか!?体育で体は動かしたか!?」




彼女が腕を振り上げる度に、そのたわわに実った胸がブルンブルン揺れる。




「腹が減ったぞぉっ!」




僕は彼女の揺れる胸を仰視しながら彼女のノリに乗っかる。




「よろしい!それではいざ、受け取りに参らん!」




彼女は相変わらず謎のテンションで受け取りカウンターまで進んでいった。


彼女に料理を手渡した食堂のおばちゃんは苦笑していた。






「おぉいひぃっ!」


彼女は満面の笑みでステーキ大盛丼を頬張っていた。


「うん、美味しいね」


ステーキ大盛丼は毎月29日の肉の日にだけ販売される特別メニューだ。


普段はステーキ丼とメニューにあるのだが、この日は肉質のグレードが上がり、丼から溢れるほど肉が盛られて出てくる。




「あー、やっぱ肉。肉食わないとダメね」




彼女はうんうんと頷きながら肉を咀嚼する。


「ホント豪華だよね」




脂の乗った柔らかい肉が醤油ベースの甘辛いタレで炒められており、


中央には卵の黄身が燦然と輝いていて、


アクセントに散りばめられた揚げたガーリックと青ネギが丼に彩りを与えつつ、肉の旨味を引き立て、


脇に添えられたワサビが味を飽きさせないニクい演出をする豪華な丼だった。




「あぁーあ、毎日食べられたらいいのに」


彼女は残り少なくなってきた丼を名残惜しそうに箸でつつく。


「毎日こんな贅沢してたら、お腹の肉も贅沢になっちゃうよ」


僕は苦笑しながら言った。




「大丈夫、私の場合は全部胸にいくから」




そう言って彼女は胸を張り、その豊さをアピールしてきた。


少しの動作で揺れる彼女の胸は凄いボリュームだ。


「確かに、説得力あるね」


僕は彼女の揺る胸を仰視しながら仰々しく頷いた。




「だから私に肉をよこせぇっ!」




そう言いながら彼女は僕の丼に箸を突っ込み、ガッツリと肉を奪って口に放り込んだ。




「おぉいひぃっ!」




満面の笑みで僕から奪った肉を咀嚼していたが、彼女の唇にタレが付いていて、どこか間抜けな感じになっていた。


「あーっ!ガッツリ行き過ぎだよ!ほとんど肉残ってないじゃん!」


彼女に肉を奪われた僕の丼は見るも無惨な姿になっていた。




「お胸様の拝見料の徴収だぁ!」




彼女はあざとく胸を揺らしながら尊大に言ってきた。


「くっ!反論出来ない!」


僕は揺れるお胸様に目を奪われながら、悔しそうに言った。




「ほれほれー!もっと見てもいぃんだぞぉ!」




彼女は露骨に胸を揺らし挑発してくる。


「ダメだぁ!本能に逆らえないぃ!」


僕は彼女のお色気攻撃に耐えきれず、手で顔を覆った。




「隙ありぃ!」




そう言って彼女は僕の丼に残っていた肉を全てかっさらっていった。


「あぁーっ!もう白米しか残ってないじゃん!」


彼女はかっさらった肉をもったいつけながら美味しそうに口の中へ頬張った。




「んぅーっ!人から奪った肉は格別美味い!」




彼女は意地の悪い表情をしながら僕から奪った肉を食べた。


悔しかった僕は彼女の胸を凝視し、オカズ代わりに白米を口の中へ掻き込んだ。






「肉屋のコロッケ食べに行こぉ」


放課後の下駄箱前で彼女は声をそうかけてきた。


「確か今日は半額だったね」


駅前にある商店街の肉屋では、毎月29日の肉の日にはコロッケを半額で買うことが出来るのだ。


「そうなのよ!これは行くっきゃないでしょっ!」


彼女は何故かガッツポーズをしながら力説してくる。


「いいね、行こう」


半額のコロッケは、お金のない学生にありがたい話である。


「それじゃっ行きましょ!」


彼女は僕の袖をグイグイと引っ張り、足早に歩き出した。






「あぁーっ、食欲をそそる、良い香り!」


駅前の商店街に入るとアーケード入り口近くにある肉屋の周りから、揚げ物を揚げる良い香りが漂っていた。


「腹減ったなぁ」


食欲をそそる良い香りに胃袋を刺激され、僕は呟いた。


「早く並ぼっ!売り切れちゃう!」


肉屋には僕達と同じ目的と思われる人達が数人並んでいた。


「そうだね、並ぼうか」


僕は彼女に腕をグイグイと引っ張られていたので、時おり腕に当たる柔らかな感触を楽しみながら列に並んだ。


「おばちゃーん!コロッケ二つ!」


彼女は元気よく注文した。


コロッケを買った僕達は近くのベンチに座り二人並んで食べ始めた。




「あっちっち、・・・うまっ!」




揚げたてのコロッケはまだ油の温度が残っており、衣がサクサクしていた。


口に含むと肉の味がしっかりとするジャガイモがホクホクと口の中に広がり、香辛料の効いた玉ねぎがアクセントになり非常に美味だった。


「うまぁ」


隣で彼女はリスのようにサクサクとコロッケを頬張っていたが、お行儀悪く衣をこぼしていた。


僕なら地面にそのまま落ちる衣も、彼女の場合は大きな胸の突起があるため、そこに溜まっていた。


「こぼしすぎだよ」


僕は笑いながら彼女に言った。


「君も同じくらいこぼしてるよっ!私の場合は胸元にたまるから目立つだけ!」


彼女は上目づかいでぷりぷりと怒ってきた。




「そんな意地悪なこと言うやつわぁ・・・こうだぁ!」




そう言って彼女は大きな口を開けて、僕のコロッケにかぶりついた。




「ちょっ、食いすぎぃ!」




僕のコロッケは半分以上、彼女の一口でかぶりとられてしまった。




「ふふぅん、意地悪なやつにはコロッケを食べる資格は無いのだぁ」




彼女はドヤ顔で偉そうに言ってきた。


唇に付いた衣が無ければキマっていたと思う。


「後ちょっとしか残ってないじゃん」


僕は急に少なくなった自分のコロッケを見て落胆した。




「私と間接キスできるよ?」




そう言って彼女はあざとく、上目づかいでウィンクしてきた。




「なめまわすように食べてやる」




僕は少しだけ甘い感じがする残ったコロッケを、ゆっくり噛み締めながら食べた。

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