夏が終わる花火
「おっ、始まった」
僕は眼前に花火が打ち上がり始めたのを見て言った。
「わぁ!きれいねぇー」
隣にいる彼女が目を輝かせて花火に魅入る。
轟音と共に色とりどりの大輪を咲かす花火は見ていて迫力があった。
「はえぇー」
浴衣姿の彼女が呟く。
艶のある髪をくるくるとお団子に結っており、普段は隠れている首筋が露わになっていた。
きれいな色白のうなじは何とも言えない色気があった。
僕は花火よりも、隣で花火を見上げる彼女に魅入っていた。
「すごいっ!変わった形の花火だよ!どうやって作ってるんだろうね?」
嬉しそうにはしゃぐ彼女を見ていると僕も嬉しい気持ちになる。
僕は露店で買ったタコ焼きを頬張りながら思った。
僕は日本で一番美味いタコ焼きを食べているのではないか、と。
大げさな表現かもしないが、花火を背景に隣にいる彼女の笑顔を見ながら食べるタコ焼きは格別に美味しかった。
「もうっタコ焼きばっかり食べてないで花火も見よ?」
彼女はプンスカと僕を小突いてきた。
僕はタコ焼きを脇に置き、彼女と花火を見ることに専念する。
「あ、フィナーレのナイアガラだって!すごい迫力!」
大橋をまるごと使った花火によるナイアガラの滝の表現は圧巻の一言に尽きた。
「もう終わりかぁ、今年も花火見れてよかったぁ・・・あっという間だったね」
彼女ははにかんだ表情で笑いかけてきた。
「来年も一緒に来ようね!」
魅力的な彼女の笑顔に僕はもうクラクラだった。