残り福
「商売繁盛で笹持ってこい!」
彼女は嬉しそうに跳び跳ねて、永遠と境内でかかっている祭り文句を宣った。
「ご機嫌だね、そんなに売れてるの?」
跳び跳ねた事により、彼女のたわわに実った爆乳がたっぷんたっぷん揺れる。
非常にけしからん光景だ。
「もう入れ食い状態だよぉ・・・忙しいけど、やりがいあるよぉ」
一通り跳び跳ねて満足したのか『ふぅー・・・』と一息吐いて彼女はニシシと笑った。
なぜ跳び跳ねたかは不明だし、笑い方もちょっとゲスっぽかった。
「最終日は流石に参拝客も落ちついてきたね」
「でも列が途切れる事がないんだぁ
・・・不思議ぃ、どこからこんなに人が来てるんだろぉ?」
「宝船の国からじゃない?」
「どうりでみんな福々しい表情してるわけだよぉ」
「みんな懐豊かになりたいからね
・・・君のお胸様もご利益でさらに豊かになるんじゃない?」
「みんなは懐で、私は胸が豊かになるのぉ?
私も懐がいいよぉ、これ以上お胸が大きくなったら困っちゃうよぉ」
「僕は困らないよ?」
「私は困るのぉ!
これ以上お胸が大きくなったら不格好になっちゃうよぉ!
ただの奇乳だよぉっ!」
「奇乳・・・それはそれでアリだな」
「えぇー・・・」
「美少女が、下品な乳をぶら下げて恥ずかしそうにしてたら、燃えない?」
「そういう話は男の子としてくれるぅ?」
「君の〈残り福〉を分けて欲しいな」
「意味が分からないよぉ
・・・君の欲してるモノは、たぶん〈残り福〉は関係無いよぉ
・・・とりあえず、下ネタの罰として、乳ビンタァッ!」
彼女は急に腰を捻り、飛びかかってきた。
「アウチッ!ありがとうございます!」
何故その思考にたどり着いたのか全く理解出来なかったが、
面白かったから良しとしよう。
彼女の乳ビンタに負けて、よろめいた僕はフフッと笑った。
彼女もニコニコと微笑んでいる。
神社の片隅で、二人して見つめあいながら笑う謎の空間が出来ていた。
たぶん違うが、こうして今年も彼女とコントが出来る事が〈残り福〉なのだろう。