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新年
「明けましておめでとうございます、本年もよろしくお願いします」
初詣のために神社の入り口で落ち合った彼女に、僕は先手を打たれてしまった。
意匠の凝った振袖を着た彼女が綺麗に礼をする姿に僕は見惚れた。
「あけおめ、ことよろ」
「こら、惚けてないでちゃんと挨拶しなさい」
「あけましておめでとう、今年もよろしく」
「はい、よく出来ました」
「僕は子どもか」
「子どもじゃないの?」
「今年こそは大人の階段登りたいなぁ」
「神様にお願いしてみれば?」
「そうするよ・・・君は何を願う?」
「んー、秘密」
「まぁ、願いは人に言うものでもないらしいからね」