今年の終わり
焚火にくべられた薪がパキンッと小粋な音を奏でながら弾け、火の粉が舞う。
僕は甘酒を飲みながら、
メラメラと燃え盛る焚火の炎へ適度に近づいて暖を取っていた。
凍てつくような寒さだが、焚火の熱は非常に熱く、
周りでは衣服を溶かして慌てている人がいた。
今年も終わりか。
僕は甘酒を一口飲むと、溜息を溢した。
色々あったな。
頭の中で今年起こった事を振り返る。
甘いもあったし、酸っぱいも苦いもあった。
去年の今頃は何を思っただろうか?
今年の抱負は何を願っただろうか?
この一年の僕は、どうであったであろうか?
一人でボーっと焚火に当たっていると、そんな事ばかり考えてしまう。
「おーうぃ!年越しソバ食べに行こぉ」
彼女はニコニコしがながら僕に近づいてくる。
「いいね、大エビの天ぷら入ってるかな?」
僕は彼女の姿に頬を緩まし彼女の方へ歩きだした。
「伊勢海老の天ぷらのってたよぉ」
彼女と肩を並べて、同じ方向を向いて歩く。
「そいつは豪華だ、楽しくなってきた」
楽しくなってきたのは、ソバの豪華さではなく、
きっと彼女が傍に居るからだろう。
あ、<ソバ>と<傍>が被ってる・・・ダジャレじゃん。
一人ふふっと笑う僕を、彼女は不思議そうな表情で見つめてきた。