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お餅
「おもちのお裾分けを持ってきたわよ」
手提げ袋を持った彼女が部屋にやってきた。
「わーい、つきたて?」
僕はゲーム機をセーブしてベットに放り投げた。
「臼でついた、つきたてよ」
「それはスゴい、君も杵でついたの?」
「私を何だと思ってるのよ・・・丸めるのを手伝っただけよ」
「まさか、君の手ごね?」
「そうよ、人がこねた物は食べれないとか言い出すんじゃないんでしょうね?」
「それこそまさかさ!
君が愛情込めてこねた餅を食べれないなんて言い出す訳がないじゃないか!」
「誰も愛情を込めたなんて言ってないわよ?」
「えぇっ!?その餅は愛情込めたベリー甘々なお餅じゃないの!?」
「オススメの食べ方は、大根おろしね」
「しぶうぅいっ!」
「安心して?ちゃんと大根も持ってきたから」
「そこまでするんだったらおろしてきてよ!」
「やっぱりすりたてが美味しいじゃない?」
「変化球でもアンコ入りの普通のやつでよかったのになぁ」
「安心しなさい?苺も入れて大福にしてあるから」
「凝る所は凝るなぁ・・・」