バーベキューがしたい
「バーベキューがしたい」
「どうしたの、急に」
僕の唐突な発言に彼女は怪訝そうな表情をした。
「いやさ、近所でみんなバーベキューしてるじゃない?」
「そうね」
「肉の焼けるいい匂いがするじゃない?」
「そうね」
「楽しそうじゃない?」
「そうね、それで貴方もしたくなったと?」
「うん」
彼女は呆れた顔をしていた。
「じゃあ今から準備して私と二人でする?」
「いやー、それはなんか違うっていうかさ、こう、大人数でワイワイやりながらやりたいっていうか」
彼女はめんどくさそうに僕の相手をする。
「友達呼べば?」
「それも考えたんだけどさ、よく考えなくても、僕って友達少ないじゃん?」
「そうね、あんまり話を聞かないわね」
「だから君の友達呼べない?」
「みんな急には無理よ」
彼女は僕の相手をするのはうんだりだと表情だけでなくゼスチャーからも伝わってくる。
「そうだよねー、そりゃそうだよねー」
「で、結局どうするの?」
「・・・今晩は家で焼肉にしようか」
「はいはい、貴方ってホントいつも唐突ね」
そう言いながらも買い物に行く準備をしてくれる彼女は優しいと思う。
肉はちょっと高めの良いやつを買おう。