145/169
クリスマス~前日~
女の子は登場しません。
「雪、か」
人気の無い公園のベンチに座り、僕は誰に言うまでもなく独りごちた。
手の平をかざせば、チラチラと舞い降りる雪がフンワリと乗って消えていった。
「明日も降るかな?」
そしたらホワイト・クリスマスになって雰囲気良いのに、と僕は思った。
冷たい空気が、剥きだしの肌に突き刺さる。
僕は思わず首を竦めて、かざしていた手をポケットに避難させた。
すると、携帯端末がバイブレーションにより震えた。
何かな、と思い確認すると、メールが一通、届いていた。
『明日はちゃんと準備しておくんだぞ!』
メールには、そう書かれていた。
僕は思わず頬がにやけるのを自覚した。
「帰るか」
胸にあったかいモノが湧き出てくるのを感じた僕は、ベンチから立ち上がった。