昼過ぎの誤睡
「えっ・・・もう夕方?」
目が覚めた僕は愕然とせずにはいられなかった。
「あら、起きたの?」
呆然とする僕に彼女が話しかけてきた。
「すまない、ずっと寝ていたようだ」
「別にいいわよ、疲れてたんでしょ」
彼女は苦笑しながら答えてた。
僕は昼食後少し横になるつもりで転がったのだが、まさか夕方まで寝てしまうとは思ってなかった。
自分でも気づかない内に疲れが溜まっていたのだろうか?
「ごめん。休日だからどこかに出掛けようって話の途中だったよね」
「気にしてないわ。まだ眠そうよ?顔洗ってきたら?コーヒー入れといてあげる」
彼女の気遣いを純粋に嬉しく思う。
「ありがと、そうするよ」
僕は顔を洗いに洗面台に向かう。
冷たい水で寝汗を洗い流し、さっぱりすると眠気が晴れてきた。
「はい、コーヒー」
洗面台から戻ると彼女はマグカップに入れたコーヒーを二つ両手で持ち、片方を僕に手渡してくれた。
「それ飲み終わったら夕飯の買い出しついでに散歩に行きましょう」
彼女は微笑みながら僕に話しかけてくる。
「そうだね・・・どこにも行けなかったから外食にしようか?」
僕はせっかくの休日にどこにも連れて行ってあげられなかった申し訳なさから彼女に提案した。
「別にいいわ。でも散歩コースは河川敷にしましょう」
彼女は自身の潤いある髪を指先で弄りながら言った。
「別にいいけど少し遠いよ?」
河川敷の散歩は偶に行くが、スーパーから少し離れた場所にあった。
「貴方とゆっくり歩きたいのよ」
少し照れたように笑う彼女が愛おしかった。