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【チラシの裏】僕と彼女たちの小話  作者: 農民
高校生エッチなイチャ甘ラブコメ メイン
139/169

クリスマス~お誘い~

「もうクリスマス一色だね」




僕は下校途中に商店街へ入ると、隣を歩く彼女に話しかけた。




「本当ね」




僕と肩を並べて歩く彼女は、


クリスマスムードで賑やかに装飾された商店街を見渡しながら答えた。




「二十四の日、何か予定ある?」




僕はなんとなしに自然な風を装いながら、


その実スゴく緊張して彼女に探りを入れた。




「クリスマス・イブの日、とは言わないの?」




隣を歩く彼女は意地悪げな表情を浮かべ、僕の腕をツンツンとつついてきた。




「いや、そうなんだけどね?


クリスマス・イブって言っちゃうと警戒されるかと思って・・・


・・・数多の葛藤の末、僕がゆるぅーく探るようにジャブを打ったのに対して、


ストレートで顔面狙うのは止めてもらえる?


男子高校生的に考えて」




僕の言いたい事など、お見通しであろう彼女に対して、


気恥ずかしくなり、拗ねたように抗議した。




「ようやくクリスマスに誘ってきたかと思えば、随分とウジウジ悩んでたのねぇ」




僕の子どものような反応に、彼女はヤレヤレとそのなだらかな肩を竦めた。




「クリスマス・イブだよ?


年に一度の特別な日なんだよ?


この日をどう過ごすかで、男子高校生としての格が問われるんだよ?」




「もう子どもじゃないんだから、普通の日と変わりないでしょ?」




「違うよ!クリスマス・イブはチキンとケーキ食べてプレゼント交換する日なの!」




「それは二十五日のクリスマスの日でしょ?」




「そうだっけ?正直二十四も五も変わりないから、覚えてないや」




「日本人らしい、曖昧な感性ねぇ」




彼女の溢したタメ息は、外気の冷たさによって白く広がった。




「そ・ん・な・こ・と・よりクリスマス・イブは、どこか行きたい所ある?」




僕は会話の勢いから『ここだ!』と思い、


しれっとオーケーをもらった体で彼女の要望を聞き出そうとする。




「え?なんで一緒に出掛ける前提なの?


私はまだ、予定が空いているとは答えて無いわよ?」




彼女はキョトンとした表情で僕を見つめてきた。




「ちょ、いま焦らされると普通に焦る・・・御予定はお有りで?」




僕は揉み手しながら、下から彼女を覗きこんだ。




「クリスマスは毎年家族とゆっくり過ごすの」




「マジかぁ・・・」




僕は身体中から力が抜けて、思わず天を仰いだ。




「ふふっ、そんなにヘコまないの・・・


・・・クリスマスは家族と過ごすのだけれど、


クリスマス・イブはまだ予定空いてるのよねー、誰か誘ってくれないのかしらー?」




「落としてから上げる、これが悪女のテクニックか・・・」




「あら、そういえばイブの日は友だちに


クリスマス・パーティーしようと誘われてるんだったわ


・・・予定があると断っていたのだけれど、


誰かさんが誘ってくれないから、そちらに行こうかしら?」




彼女はトンッと軽やかにバックステップして僕から距離を取った。




そして後ろ手を組み上半身を軽く倒し、上目づかいで意地悪な事を言ってきた。




女の子って分からない。




「クリスマス・イブの日、僕とデートして下さい」




僕は右手を差し出し、ストレートな言葉で勝負に出る。




差し出した手が、緊張で震えているのを自覚した。




そんな僕の手を彼女は両手で優しく包み込んできた。




「はい、喜んで」




蕾が花開く瞬間の如く、彼女は嬉しそうに美しく微笑んだ。

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