番外~あるいは新章~
ラブコメ要素はありません。
これは少し不思議な、どこかで聞いたことのある話。
精霊がパートナーになり、人々に寄り添い暮らす社会での話。
僕の家は、お世辞にも裕福と言うことは出来なかった。
その事に不満を持つこともあったけれど、「そういうものか」と納得して、
取り立てて社会のせいだと苛立ちを外にぶつける事もなかった。
初めて自分に精霊のパートナーが出来た時の感動は、今でも覚えている。
当時は幼く、
周りのクラスメイトはみんな精霊のパートナーを持っていたのにも関わらず、
僕だけ持っていない状況だった。
大抵は親から縁なりお金なりで用意された精霊を侍らせ、
互いに見せあいっこするのが流行っていた。
当然持たざる者の僕は皆の輪の中に入ることが出来ず、
一人教室でポツンとしていた事を覚えている。
そんな中、ふと学校の帰りに、傷つき倒れている精霊を見かけた。
「野良の精霊は危ないから近づいてはいけません」
と学校で教えられていた僕だったが、
意識無く、ボロ雑巾のように道端で横たわる精霊に、
どこか親近感に似た感情を抱いてしまい、
見捨てることが出来ずに、そっと優しくハンカチに包んで家に持ち帰った。
迷走しています。