日本語は難しい
「付き合ってくれない?」
僕は昼食後の昼休みに校庭のベンチで彼女と二人並んで座る最中、
何の脈略も無く呟いた。
「ふえぇぇえっ!
なに?なんなのぉ、突然?
急、急過ぎぃ!
ムードもなにも無いじゃないぃ!
もっとこう、デートの終わりに夜景を見ながら、とかあるじゃないぃ!
大体、そう言うのは顔を見てちゃんと目を合わせて言って欲しいかなぁ!
確かに、のんびりとした空気で、お互いに気のおけない間柄で、
気持ちが安らいでいる中でも親密感があっていいよ?
でも私は花の女子高生なの?そう言うには憧れがあるの、
少女マンガやドラマみたいなシチュエーションに憧れがあるの!
そこの所、分かって欲しいなぁ!」
何を興奮しているのか、
彼女は顔を真っ赤に染め上げ、落ち着き無くワタワタと動いた。
「え、今週の休み、何か予定あった?
服買いに行くのに付き合って欲しいんだけど」
そんな彼女の姿に、僕は怪訝な表情をしてしまうのを止められなかった。
「・・・そっかぁ、そうだよねぇ・・・」
スッと彼女から表情が消え去った。
「ん?それ以外に何かあった?」
僕は能面のような顔になった彼女に若干ビビって腰が引けている状態で僕は言った。
「期待した私がバカでした!」
彼女はイーっとして肩を怒らせながら舌を出した。
「なに怒ってるの?予定があるならそっちを優先させてくれて構わないよ?」
怒れる小動物を宥めるように僕はドウドウ、と言った。
「何も無いよっコンチクショウ!
きっちりコーディネートしてやるから覚悟しとけよぉ!」
そう良い放って彼女はどこかに走り去って行ってしまった。
後から考えれば、告白にも聞こえない事も無いかな、
と少し経ってからベンチに一人座りながら、ふと思った。