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プロローグ

結構前から構想だけは頭の中に有ったものを文章にしてみた作品です。


自分は余り小説を読まないので、ひょっとしたら他の作家さんが書いている事の劣化品程度のものになるかもしれませんが、自分が『こういう漫画・アニメを見たい』と思ったものを文章に起こしたものですので、結構ありきたりなものではあるかもしれない事はご容赦下さい。

(さくら)さん、流石にこれは厳しいですよ!?」

「もっと踏ん張れ!手応えはあるんだ!」

 ガタガタと音を立て激しく揺れ、悲鳴が響く旅客機の中、白髪(はくはつ)の老年の女性と、体格の良い中年の大男が声を掛け合う。

(クソッ!幹雄(みきお)念動力(ちから)なら大型重機だって持ち上げられるんだ、二人がかりでなら…せめて不時着くらいは…!)

 櫻と呼ばれた女性がチラリと窓越しに外を見ると、翼の下、恐らくエンジン部分からもうもうと煙が上がり、時折炎の色が見える。

 原因は不明だが、現実としてエンジントラブルが起き、現在この旅客機は墜落の最中(さなか)であった。

 機体のバランスを取る為に機体前後を其々に念動力で支え水平を保とうとするが、その支点に掛かる力が(ごく)部分的過ぎるのか、機体中央付近に不気味な唸りのように金属の歪む音が鳴り始めた。

「こ、これはマズいのでは…!?もう脱出するしか…!」

 思わず弱音を吐く幹雄。

「ばかたれ!そんなんだったら最初から逃げてるってんだよ!あたしは最後まで諦めないよ、逃げるならあんた一人で逃げな!」

 その言葉に嘘は無いのだろう、櫻の瞳には力強い意思が宿り、そこに諦めの色は微塵も感じられなかった。

 そんな櫻に幹雄も一つ溜息をつくと、

「やれやれ、そんな風に言われたら私一人が逃げられないでしょうに…分かりましたよ、せめて最後の時までご一緒します。」

 そう言って再び気合を入れ、機体を支える念動力(ちから)(ちから)を込める。

 幹雄ならそう言ってくれる…そんな信頼があったのだろう、櫻は小さく微笑むと力を振り絞り機体のバランスを取る為に念動力をコントロールする。

 再び窓越しに外の様子を見ると、眼下には海が見える。幸いな事に天気は快晴で、とても外海とは思えない程に波は穏やかだ。陸もそう遠くなく見えた。

(よし、このまま安定して高度を落とせれば全員無事助かる…!)

「幹雄、もうひと踏ん張りだ!着水時に特大の衝撃が来る、間際での減速時に全力を出すよ!」

「解りました!」

 互いの気合を入れると、いよいよ海面が近付いてきた。

「ここだ!」

 櫻の掛け声で二人が能力を全開する。その時、

『ベキベキベキッ…!』

 機体中央に亀裂が走った。

 機体前後に更に強い抵抗が生まれた事によって中央の歪みが限界を迎えてしまったのだ。

 周囲の乗客の悲鳴が更に強くなる。

(マズイ!?このままだと着水しても沈んじまう!)

 櫻の脳裏に最悪の光景が(よぎ)る。

「させるかぁぁぁ!!」

 気合の声と共に櫻は能力を拡大し、その支持範囲を中央付近にまで伸ばす。

 だがその時、櫻の中で何かが限界を超えた。


 大きな着水音が機内にまで響き、他の乗客達の悲鳴と共に機体が衝撃に包まれる。しかし旅客機は原型を(とど)め、一瞬の静寂の中から一斉の歓声が沸くまでは然程(さほど)もかからなかった。

 そんな声を聞きながら、櫻の意識は薄れて行く。

「櫻さん、やりましたね!助かりましたよ!」

 幹雄の喜びを湛えた声が遠くに聞こえる。

 そして駆け寄る幹雄の目の前で、櫻の身体はゆらりと揺れたかと思うと膝から崩れ落ち、その場に横たわってしまった。

「櫻さん!?」

 慌てて駆け寄りその身を抱き上げる幹雄。

(何だい…身体に…力が入らない…声も…聞こえない…。)

 最早視界もままならない中で幹雄が何かを叫んでいるように見えるが、その声に応える事もままならない。

(あぁ…あたしは、もう限界だったのか…。コイツが無事だったのが幸いだが…せめて…もう…少し…。)


 幹雄の腕に(いだ)かれ櫻の瞳が閉じると、その意識は無の中へと消え入った。

物語の導入という事で作品タイトルの部分にまだ掛かってません。

タイトル詐欺とか言わないで下さいね。


実は主人公の『春乃櫻』は、自分が他に書いている【桜荘は暇で案外忙しい】に登場するキャラクターと(ある意味)同一人物です。


そちらの作品では詳しく説明の無い櫻の身体についての経緯(いきさつ)にもなっていますので、どうしても書きたかった話でした。


ただこの作品自体に双方の関りはほぼ無いので、この作品単体で読める物となっています。このプロローグだけでは作品内容が理解出来ないかとは思いますが、せめて10話辺りまで見て貰えたら大体の作風が感じて頂けるかと思います。


ジャンルに『異世界転生』と『異世界転移』が有りますが、正直どちらが正しいのか自分でも判断が付きません。なので一応『~転移』の方に設定させて貰いました。

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