表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/14

4話 蛇に出会いました

 『超除湿』


 と書かれていた。


「あー、うん、それ結構便利だよね」


 エイルが舌を出しててへぺろ!な顔をする。


「おいっ!また外れスキルかよおおぉ!」

「いーえ!そのスキルは部屋を除湿できるから、部屋干しのお洗濯物がよく乾くのよ!私も欲しいくらい。神奇跡には含まれてない能力だし」

「いらねーよ!俺は除湿機か!乾燥させてお肌カサカサにしてやろうか!」

「キャーやめてー!」


 と言ってエイルが走って行った。


 ……まーた外れ引かされた……あの箱、当たりってあるのか?


 俺はとぼとぼと家路につく。


「おにぃ、おあえりー!」


 家に着くとマリアが出迎えてくれた。いやー、妹の笑顔を見るだけで疲れが吹き飛ぶね。


 マリアの頭上にも戦闘値とスキルが出ている。

 

 8


『相転移』


 さすがに妹は俺より弱かったか……って、4歳の幼女と2しか違わないとか俺やばくね?

 つーか相転移ってなんだ?まあいいや。


 俺はマリアとおててをつないで家に入った。


・・・・・・・・


 翌日の教室の昼休み。


 俺とアーミィとゾフィーで集まって食事をとっている。

 なんか陰キャグループみたいだなあ。でも前の世界もこんな感じだったか……一応、女子がいるだけマシか?

 グループメンバーの戦闘値の平均はクラスでダントツトップなんだけどな。10の俺が足引っ張ってるけど。


「あっ」


 ゴロン


 びちゃあ


 どんくさいアーミィが、ミルクの瓶を倒してしまった。

 運悪く、近くを通っていた子にかかってしまった。


「ああ!?てめぇ、何すんだこらぁ!」


 金髪ロングのヤンキーっぽい女だ。

 なおそいつは上半身は人間だが、下半身は大蛇のようになっている。

 あれで器用に移動できるんだから大したもんだ。

 そいつが通った後の床は湿ってるのがちょっと気持ち悪いけど。


 ヘビ女はカンカンに怒ってる。面倒なことになったな。

 

 なおそいつの能力は、


 14


『超潜水』


 戦闘値14か……ゴミめ……って俺より強いけど。


「服にかかっちまったじゃねえか!どうすんだよ!」

「ご、ごめんなすい」


 アーミィがおどおど謝っている。

 こりゃまたお漏らししちゃうな。


 また土下座を使うか……。


 いや。


 俺はアーミィの前に出た。ヘビ女がメンチ切って来る。


「おうおう、リーダーさんのお出ましか。あんた、アルって言ったな。あたいはゲルダだ」

「そうか。自己紹介ご苦労」

「ちっ、お前ら陰キャは人の名前を覚えねーよなぁ、だからクラスの底辺グループなんだよ、ギャハハ」


 なんだと……俺個人をバカにするのはまだいいが、俺の軍団(レギオン)を侮辱するのは、許せん!


「お前など、カサカサの乾燥肌になってしまえ!」


 シュワーン……


「はぁ?何言ってんだこいつ…………!!く、苦しい……」


 ゲルダが苦しんでいる。


「肌が乾く、助けて、助けてぇ!」


 ゲルダの目から涙が出ているが、片っ端から気化して行く。

 『超除湿』が発動してゲルダの周囲が除湿されているのだろう。


「あ、あたいらラミア族は肌が乾くと皮膚呼吸できないんだよぉ、息が出来なくて死んじゃう!死にたくないぃ!」


 アーミィが俺の腕に抱き着く。


「ゆ、許すてあげて」


 言われなくてもそうするつもりだ。解除!

 除湿が止まったようだ。

 ゲルダはげっそりしている。


「水をぶっかけてやれ」

「くんでおいたよ」


 すでにゾフィーがバケツの水を用意していた。こいつほんと出来るな……。


 バシャア!


 ゾフィーがゲルダに水をぶっかけた。


「は、はぁっ、助かった、死ぬかと思った……」

「お前、俺の手下(ミニオン)になれ」

「はあぁっ!?なんであたいが、あんたなんかの下に」

「また乾燥肌になりたいか?」

「ぐ……ちっ、じゃあそういうことにしといてやるよ!ふんっ!」

手下(ミニオン)になった以上は、ちゃんと働いてもらうぞ?」


 俺はゲルダをギロリと睨んだ。


「ひっ……わ、わーってるよ!あたいは一度決めたことはちゃんとやる主義なんだ!」


 そう言うと、ゲルダはずるずると移動しながら去って行った。


 ふーん。あいつはスキルからして水中では使えそうだな。ただその機会がいつ来るのかわからないが……。


 そんなことを考えながら廊下に出ると、またあの女神兼女教師が居た。

 いつもの階段の下に二人で移動する。

 エイルが俺を諭すように話かけてくる。


「あんなやり方じゃなくて、また土下座で解決して欲しかったな」

「いや、軍団(レギオン)として、時には力を見せる必要もある」

「敵を増やすだけなのに……それとも君は、敢えてそれを望んでいるのかしら」

「そうかもな」

「まあ約束は約束よ。ギリギリだけどあの子も友情みたいな感情をあなたに抱いたようだし。友情と言うより畏怖かも」


 目の前に例の丸い穴の箱が現れた。


「よし!今度こそいいの引くぞ!」


 ごそごそ……


 これだッ!


 そして俺が引いた畳んだ紙きれに書いてあったのは……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ