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3話 謎の男を追いました

 俺が取り出した紙切れには、こう書かれていた。


『力計測』


 ああん!?なんだこりゃ!?なんか、嫌な予感……。

 なんかこう、もっと、ぱっと見強そうなやつ出てきてくれよ……。


「ああ、それね」


 あ、なんかエイルが生暖かい目で見ている!

 また地味なの引いちゃったね感が漂ってる!


「まーた外れかよ!いい加減にしろよ!」

「ち、ちょっと待って、決して悪い能力じゃないわよこれ」

「とか言って、良くもねえんだろ!」

「まあまあ、落ち着いて。今時の子ってキレやすいのかしらねえ」


 怒って当然だろ、六年だぞ、六年。

 自分が凄いスキルを持ってればいいのに……と六年間、悶え続けたこの思い、この女にはわからんのだろうな。


「アル君、私をよーく見てみて」


 ……ん?なんか、エイルの頭の上に出ているぞ。


 10000


『神奇跡』


「見えるわよね?」

「数字と文字が出てるな。10000、神奇跡って」

「オッケー。それは私の戦闘値とスキルよ」


 これは……相手の能力が分かるスキルなのか。


「戦闘値ってなんだ?」

「総合的な強さね」


 ふーん。10000ってかなり強そうだな。さすがは神。

 それより気になるのがスキルだ。字面だけでかなりのチートに感じる。


「この神奇跡って、どんなことができるんだ?」

「神が出来ることは何でもよ。人間の行動を見通したり治癒したり、瞬間移動したり」

「それ、俺にくれない?」

「だーめ、くじで引きなさい。でもこれは入ってるかなあ?」


 ちぇっ、ケチだな。


「そしてこれがあなた」


 そう言ってエイルは手鏡を取り出した。


「用意がいいな」

「あら、レディのたしなみよ」


 手鏡には俺の顔が映っている。

 俺の頭上には……


 10


『土下座』『力計測』


 じ、10って……。

 いや、神と比較するから低く感じるんだろう。六歳で10って、高い方なのかもしれないし。


「どう?結構使える能力じゃない?」

「うーん、有益なスキルであることは認める。ただ、これだけでは戦えない」

「じゃあ、また友達作ってくじを引いてね。それじゃバイビー」


 そう言ってエイルは立ち去った。


 ま、元の世界の兵法家・孫子の言葉に、敵を知り己を知れば百戦百勝危うからず、という言葉もあるしな。

 これはこれで必要な基礎スキルなのは確かだろう。


 俺は教室に戻り、辺りを見渡した。


 …………みんな、俺より戦闘値高えじゃねえか!

 10以下のやつなんていねーぞ……俺って世界最弱の一年生なのか?


 ショックだったのが、俺の手下(ミニオン)のアーミィの戦闘値が18もあったことだ。

 クラスでも上位に位置する。さすが怪力で鳴らすドワーフだ。

 つーかエルフのラビニアは16だから、自分をいじめていた奴より強いんだが。

 なおアーミィのスキルは『手工芸』だった。さすが手先が器用なドワーフだ。


 そして戦闘値が突出しているのは、あの顔色の悪い美少女のヴィラートだ。

 なんと30もある。スキルは『眷属化』。

 ……ん?顔色が悪くて黒いコートを着ていて、スキルが眷属化、それってもしや……。

 そういやヴィラートは無表情で笑わないが、口を開くと牙が見えるのかもしれない。


 …………いや、ヴィラートが突出しているというのは訂正だ。


 36の奴がいた。スキルは『超再生』。

 超再生ってなんだ!?


 なおその戦闘値36の奴は見た目はぱっとしない男子だ。ほんと特徴が無い。

 それでクラスで最強ってある意味かっこいいかもしれんが。


 よし……あいつを俺の手下(ミニオン)にしてやろう。

 あいつがいれば俺の軍団(レギオン)の戦力が充実するぜ。


 なお、スキルを二つ以上持ってる奴は俺以外いなかった。その点については俺が特別ってことだな。


 学校が終わって放課後になった。

 戦闘値36の奴が帰宅の途につく。


 俺も帰ろうとすると、アーミィが俺の所に来た。


「わ、私も」

「あ?じゃあついて来い。お前も一応手下(ミニオン)だしな」

「うん!」


 校舎の外に出た。

 俺は36の奴を尾行する。


 どうしたらあいつを軍団(レギオン)に取り込めるかな……アーミィに奴を襲わせて俺が止めて、貸しを作るとか?

 アーミィがそんな器用なことを出来るわけないか……もっと使える奴だったらよかったのに。


 と、突然、36の奴が長剣を持った黒い服の奴に襲われた!


 スバァッ!


 ズル……ドサッ


 36の奴が横になで斬りにされ、腰から切断されてしまった!

 どくどくと大量の血が流れている。

 切断面からピンク色の内臓も見えているんだが……ぐ、グロい。


「き、きゃああ!!」


 アーミィが叫び声をあげた。

 それに気付いた黒服が、こっちに飛んでくる。

 俺たちも始末する気だ!!


 ガバッ!


 俺は土下座した。


「すんません、ここは見逃してください」


「……」


 黒服は覆面をしていて、言葉を発しない。

 忍者みたいな奴だな。まあ本物の忍者なんか見たこと無いけど。


 黒服はくるっと向きを変えると、スタスタと歩いて去って行ってしまった。


 スキル『土下座』、意外と使えるな……かっこ悪いけど。

 まあ俺はそう言うの気にしないけどな。結果が全てだ。

 そういやネットの漫画で土下座にプライドを持っているサラリーマンの話があったな……自分をゲザーとか言ってたが。

 別に俺は土下座をすることに誇りまでは感じないが……ただの手段にすぎない。


「ありがとう、助かったよ」


 ……!?

 真っ二つになった36の奴が、喋っている。

 どんだけ生命力強いんだよ!


「名前覚えてないよね、僕はゾフィーだ。君はアルフレッドだったね。その子はアーミィだっけ」


 あの自己紹介で俺らの名前を憶えられたとは、こいつできるな。

 ……とか感心している場合ではないが。


 ずずずずず……ずろろ……

 ぐちゃっ ぐちゃ


 ゾフィーの体が修復している!?

 これが『超再生』の力か。


「あ、僕はゾンビ族なので気にしないで。そのうち治るんで」

「いや、気にするわ!」


 ふと見ると、アーミィは腰を抜かして失禁していた。

 もう完全におもらし属性少女だな。


 ぐちゃあっ


 ゾフィーの上半身と下半身がくっついた。服は切れてしまっているけど。


「ふー、これで立てるよ」

「……襲ってきたアイツって、何なんだ?」

「僕も知らない。でもたぶん僕を拉致しようとしているんだと思う。今日は不意打ちを食らったから危なかった」


 ゾフィーがよろよろしながら立ち上がった。


「さて、君にお礼しないとね」

「そうだな……じゃあ、俺の手下(ミニオン)になってくれ」

「わかった、そうするよ」

「……えっ、いいの!?」

「ああ、君の土下座、あれってスキルだろ。僕はあの能力、高く買っている。僕の(コップ)に値する力だよ」

「そ、そうか……じゃあ今後ともよろしく」

「よろしく!」


 俺とゾフィーは握手を交わした。


 ふむ……見る奴が見ればわかるんだな、このスキルの価値。


「大丈夫かい?」

「あ、あ……」


 ゾフィーがアーミィを立たせてあげた。


「僕は彼女を家まで送って行くよ。それじゃここで」

「ああ。じゃあな」


 女の扱いも心得ているようだな。

 アーミィが歩きながら振り返って俺の方をずっと見ていたのが気になるが……なんだろ?


 家の方に歩き出すと……。

 またあの女が出てきた。


「おめでとう!二人目の友達ゲットだね!」

「よし、くじひかせろ!くじ!くじ!」

「君、友達よりもくじのほうが大事みたいね……まあ約束だから引かせるけど」


 箱が出てくると、俺はすぐに手を突っ込んだ。


 ごそごそ……


 次こそは……ん、これだ、これがきっと俺を導いてくれる!


 取り出した四つ折りの紙を開くと、そこには……。

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