手紙
俺は大賢者様の脈を確認し、
周りに人がいないか確認した。
洞窟の外は森で囲まれていた。
人なんかいなさそうである。
この土地を何も知らない俺が
探しまわるのは危険だし、
かといってじぃちゃんをそのままには
しておけないと思った俺は洞窟を出た
すぐの場所に埋葬してあげた。
「じぃちゃん。いや、大賢者様。えっーと」
って何か葬いの言葉をと思ったけど、
俺はじぃちゃんの事何も知らねーや。
「安らかに眠ってくれ。」
両手を合わせ、頭を下げた。
まずは自分の状況を確認する。
洞窟に戻ると、本が乱雑に置かれたテーブルの上にパピルスのような紙が何枚も重なっていた。
「手紙ってこれか…。」
―――――――――
名前も知らない君へ
私は第8代永遠の繋ぎ目だ。
時を止め、君を召喚し、
精神力を限界突破した私は
代償として死んでいる事だろう。
君がいた世界では平和が当たり前なのだろか。
この世界―セレネ―は100年毎に文明が破壊される。
永遠の創生によって。
文明破壊に力を使い果たした時に、
歴代の大賢者達が魔法で永遠の創生を打ち倒してきた。
それを8度繰り返してきたのだ。
しかし、私はその輪廻を止めたかった。
その為に次の永遠の繋ぎ目
を引き継ぐ弟子もとらず。
永遠の創生を
打ち倒す際に使う、時を止める魔法
―光の行く末を眺めるは我のみ―
この効用時間を大きく伸ばす事。
そして、精神力を多く保有している者を
この世界に召喚する事に集中したのだ。
そして今、君がここにいる。
10年かけて洞窟一杯に魔法陣を組み、
―光の行く末を眺めるは我のみ―
を使った。
時が止まっているのは残り60年。
この世界で動く者はセレネの理を外れた君しかいない。
どうか、永遠を終わらせて欲しい。
何故、この文明破壊が起きるのか真実を
明かして欲しい。
そこで…
―――――――――
「そこでじゃねーよ!!なげーよ!!」
説明がなさすぎるし。説明下手じゃんか。
…でも賢い人程、人に説明するの下手だったりするよね。
そっと俺は手紙を机に置いた。