08:幼馴染と告白と
ラスティ再登場。ある意味タイトル詐欺回
「お帰りなさい、アダムスさん、バカイン」
神殿から帰った俺達を迎えたのは、当たり前のように居座るラスティだった。
なに?何なの?なんでお前人の家でそんなくつろいでんの?
ラスティは椅子に腰掛け、のんびりと何かを編んでいた。つーかお前、編み物とか出来るのな。
「あぁ、只今ラスティちゃん。済まないな色々あって遅くなった」
「いえ、丁度良いくらいですよ。あ、お昼作ったんですけどもしかして食べて来ちゃいました?」
そう、机の上には出るときには無かったはずの飯が並んでいるのだ。父さんの作った飯…とも言えない雑草を使った何かとは違い、見た目からして美味そうだ。
「いやー、神殿でちょっとな…。しかし美味そうだな!実は腹が減って仕方がなかったんだよ!」
「じゃあお昼にしましょう。ささ、冷めないうちにどうぞどうぞ」
「って、ちょっと待てー!なんで当然の顔してラスティがいるんだよ!なに?実は父さん、ラスティに手ぇ出してんの?はっ!?まさかラスティが俺の母さんとか言わないよな!」
突然の出来事に頭が変な方向に回転してるのを感じる…。
「はぁー、やっぱりバカインはバカインね…。誰かあんたの母さんよ。私とあんたは同じ16歳でしょうに。どうやって産むのよどうやって…。と言うか、アダムスさん、これって…」
「あぁ、今度ちゃんと話す。つーかカイン、飯作ってもらっといてソレはラスティちゃんが可哀想だろ。少しは気付けよ…」
「ちょっ!アダムスさん!」
あん?何に気付けって言うんだ?ああ、そっか。
「悪い悪いラスティ、気付いて無かったわ。飯、上手になったんだな」
「いや、そういうことじゃ…まぁ良いか…バカインだし」
「いちいちバを付けるな。俺はカインだっつーの」
「良いから早く食べなさいよ。多分美味しいわよ」
「ふぅ、ごっそさん」
「はい、お粗末さまでした。どう?美味しかったでしょ」
確かに飯は美味かった。ちゃんと下処理もされてるみたいだし、手も込んでた。何処かのハゲ親父にも見習ってほしいもんだ…。
「いやぁ、ホントに美味かった!ラスティちゃんはいい嫁さんになるな!…どうだ、うちのカインとか」
「ありがとうございます。でもバカインはお断りですかねー。もう少し頼りにならないと」
「うっせーよ!こっちこそお前みたいな女、お断りだわ」
ラスティが嫁とか何言い出すんだ父さん…勘弁してくれ…
「さて、じゃあ私はこれで失礼しますね」
「おや、もう帰るのか?ゆっくりしていって良いんだぞ?」
「いえ、午後からちょっと行くところがありまして…それじゃまた!ちょっとは成長しなさいよバカイン!」
嵐のように去っていったラスティ。何だったんだ…
「いやぁラスティちゃんは良い子だなぁ。こいカイン、逃がすんじゃねーぞあんな良い子」
「父さんまで何言ってんだよ…」
「まぁ、ソレはおいおいとして、だ。カイン、ちょっと真面目な話をしようか」
珍しく真面目な顔をして父さんが話を持ちかけてきた。なんだ?あ、あれか!俺が転生したってバレたのかっ!?そうだよな、お膳立ては色々出来てるもんな!まぁ、俺は女神の使徒だし?ここいらで普通の息子じゃないって事をビシッと言っておくか。
「お前が目覚めてから数日、どう話したもんか悩んだんだがな、そろそろ黙っておくのも限界だ。お前、どこまで忘れてる?」
忘れてる?何の話だ?
「お前は色んなことを忘れてるよな。俺の事は?母さんの事は?スキルの事も忘れてたな。一体どこまで忘れてるんだ?」
「……わかった、正直に言うよ。実は俺、転生者なんだ。あの日目が覚めたらこの身体の中にいたんだよ」
言った。言ってしまった。父さんと本当のカインには悪いが、これ以外説明できる気がしなかった。
「ふざけるな!!お前が転生者だと!?馬鹿も休み休み言え!お前は俺の息子カインだ!それは間違いない!第一ラスティちゃんの事は覚えてただろう!……そうか、そうやってまたはぐらかすんだな。よくわかった、もう良い。話したくないならそれで良い!」
「ちがっ、ちょっと人の話を聞けよ!本当に転生してんだって!」
「うるさい!そんな戯言は聞きたくない!女神様に話しかけられたからって調子に乗るんじゃない!」
人の話も聞かずにそう言って、父さんは出ていってしまった。なんだよ、本当の事言ったのに…。これじゃ言い損じゃねぇか。くそっ!
そうして俺はベッドに身体を放り投げ、何もする事なく昼間から惰眠を貪り始めた……。
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