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夢落ち込み

カビのような匂い、顔のような天井のシミ。並ぶ本棚と、積み上がった分厚い辞書。

懐かしいな。ここは、爺ちゃんの部屋。

「何か面白い物でも見つけたかい?」

あ、お爺ちゃ・・・神の人。

「・・・ハッ」

鼻神。

「クズにはクズのような人生がお似合いだ。無駄なあがきをしよって、鼻で茶沸かすわ!」

「茶を沸かすのはヘソだ!ふざけんなこのクソ神・便所紙ぃ!」

そう叫ぶと俺は股間から神をも切り裂くチェーンソーを取り出し、60メートルの巨体と化した神に宣戦布告の雄たけびを上げるのであった。

「異世界の戦いはこれからだ!」


・・・夢か。

ここはー、・・・どこだ?

俺のと違い小奇麗な部屋。白いカーテンから差し込む淡い光、朝なのか。この匂いは、コーヒーとパンと・・・犬?

「ふんふん~ふふん♪」

揺れる水音と鼻歌・・・。誰かが風呂に入っている。ついに来たか、俺にもハッピーなイベントが!


連続夢落ちという展開が脳裏を過ぎる、でも構わない。そういうベタさを俺は愛している、夢ならまだ覚めないで。

一瞬でハンターと化した俺は眼球を録画モードに切り替え部屋を出る。

バスルームと思われる場所をロックオン、いつでも撃てます!ご命令を!

巨大なオマルのようなバスタブの上に、揺れるカーテンの人影。

来た来た来た、これです!感動で体が震える。この瞬間を一生の思い出に!


落ち着け。

後はカーテンが開くのを待ってビンタされるか、自分で開いて洗面器で頭を強打されるかのどちらかだ。

この二つは大きく違う。

カーテンが開く、自分から出て来るという事は、全裸を拝める可能性は高い。しかし、なんの恥じらいもなくブラブラと胸や股間を晒している、そんなオッサンライクな姿のどこに興奮する?その後でキャア!と悲鳴を上げられても興ざめだ。

次に俺がカーテンを開く、これは湯船でくつろいだ姿、濡れた体。そしてそこから体を隠し、キャア!からの洗面器orお湯スプラッシュ、悪くない。ただし体の半分は浴槽で見えない。

おっぱい星人なら間違いなく後者だろうが、脚フェチの俺には物足りない選択だ。

しかし恥じらいは何者にも代えがたい。俺はこの人生の選択をどうすれば・・・。


サッとカーテンが俺の雑念を払うように開く。目が反射的にズームレンズに変形する。

「いやあああああ!」

悲鳴を上げたのは俺の方だった。

そこにあったのは濃ゆい顔と濃ゆい筋肉、毛で覆われたマッスルボディ(鋼の肉体)だった・・・。

「お、目ぇ覚めたか」

眼球と記憶にヒビが入る音を聞きながら、俺は自分の体が床に吸い込まれていくのを感じた。

夢なら早く覚めてくれ・・・。


BAD END



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