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俺なりの結論

そんな状態でも俺のドラ息子はカチンコチンだった。

「なんなんですか?あれ」

「気にしないでやってくれ、悪ぃ奴じゃねぇんだ。ただちょっとな・・・」

騒ぎを聞きつけた濃ゆい顔のオッサンとドワーフオヤジ二人に手足を縛られ持ち運ばれる。

さながら性欲が詰まったアタッシュケースだ。

「女を見る目が危険なんだぁ」

「飢えた獣だー」

ばれてた。

ロレーナの俺を見る目が害獣から危険物にバージョンアップ New!

「兄ちゃん、聞こえてっか?すまねぇ・・・」

お気遣いありがとう。だが俺にはロレーナの麗しい姿しか目に入らな・・・小さなオッサンが俺をひっくり返す。

ちくしょう。俺の扱いが軽い、ハンディ!

「ワシら、案内がてら見張ってるんだぁ」

「悪魔つきかもしれんしなー」

・・・ちょっと待て、どういう事だ。

そういう事だ。

理解できない・したくない。そんな風に思われてたのかよ!もうヤダおうち帰るー!

「いや、俺ぁ分かってんだよ。この兄ちゃんはそんな事する奴じゃねぇって。優しい奴なんだ、だからそんな度胸ある訳・・・あ」

フォローするならちゃんとしろ、どの道傷つくが。

「とにかく・・・、この兄ちゃんは俺たちが責任持って見張ってっから安心しろ。で、話はそっちだ」

わあい、通りすがりの若者にそこまでしてくれるなんて、なんて親切な人たちだ。やっぱりいい世界に来たんだなー・・・なんて思うかよ!

なんか責任持たれてるし、俺二十歳越えてるんですけどー。成人式出てないけど。でもあそこの毛生えてるしー!

「・・・」

ロレーナの沈黙が怖い。

違う、違うんだロレーナ!俺はこの世界にちょっとハーレムを作りに来ただけなんだ。前世で満たされなかった性欲をここで精一杯、精を一杯撒き散らそうと。まるで地方に来た有名人がキャバクラで女漁りするような。ちょっとした酒池肉林を求めて来ただけなんだー!だから誤解だっ!!

・・・ん?今おかしな事言った?


「そんなあなた達に、お願いしてもいいですか?」

「・・・引き受けるかは分からん。言うだけ言ってみな」

「はい・・・。二階に居るのは、兄です」

「あれは・・・エルフじゃ?」

「ハーフ、エルフです。私と兄は異母兄弟で・・・」

「ほう」

人が生き方の間違い探しをしてるのにうるさいな。よし、自問自答開始。

Q俺は性犯罪者なのか?

A違う、そんな度胸ない。

「ハーフエルフを好ましく思わない人も居ます。でも、兄は気にせず両親の仕事を手伝ったり、近所の人たちとも上手くやっていました。ただ、両親が帰らぬ人となって・・・」

「心の支えを失った、か」

「きっと父と母が兄にとって、人とつながる為の扉だったんです。それを失って兄は・・・」

Q俺は女に飢えているのか?

A正解、カチンコチンで否定しても説得力なし

「ずっと部屋から出て来ないのか?」

「はい、もう半年になります」

「半年か・・・、自分だけでなく兄の世話も。大変、だったな」

「・・・」

ロレーナのすすり泣きが聞こえる。女を泣かすとか最低だな特濃オヤジ。後で先生に言いつけてやる!おっと続けねば。

Q前の世界でもそんなに飢えていたか?

A飢えてはいたが、ここまでじゃなかった

「ちょっと話してきてもいいか?二階のー、名前は?」

「フランソワです。私とはもう何も話してくれなくて・・・、お願いします」

階段を登っていく足音。これは大人の男、つまり特濃オヤジか。背後にはまだ二体の獣が俺を見張っている気配がする。

どんだけ危険物扱いなんだよ。俺はデリケートな割れ物注意だぞ!・・・自称。

Q前と何が違うのか?

A色々違う。ネットが無い、パソコンが無い、一人になれない、オヤジしか居ない。


二階で何やら話し声が聞こえる。俺の背後で子供サイズの足音がリズムを刻んでいる、ロレーナの忍び笑いが聞こえる。可愛い。

さては小さなオッサン達、踊ってるな?

そんな事は置いといて、最終質問だ。

Qなぜここまでの状態になったのか?

うーん・・・ん?階段から誰か降りてくる音が、二人・・・?

特濃と・・・ペットの方がマシな人。

「ロレーナ!ごめんよ」

「兄さん・・・!」

背後で何やら感動的な出来事が起こっているようだ、俺カヤの外過ぎない?

「でも、もう前のようには戻れないんだ。父さん母さんはもう・・・」

「兄さん・・・」

そうだ、もう元の世界には戻れないんだ。

「だから決めたんだ。僕はこの人たちと一緒に旅にでる」

「え、兄さん・・・?」

そうだそうだ、こんな加齢臭まみれのオッサン達の保護観察付きなんだ。

「広い世界を見てくるよ。もし、生きる場所が見つかったら、会いに来る。だからエレーナ・・・幸せになっておくれ」

「・・・兄さ」

ロレーナの泣き声が聞こえる。全くよく泣く女だ。しかし俺には自分の中に湧き上がった回答と、どうにもならない感情をこれ以上抑えておくことは出来なかった。


「おい聞けオヤジども!俺は性犯罪者になるつもりはねぇ!ちょっと変わった力はあるが、丈夫なだけで悪魔なんて知ったこっちゃねぇ!でもな、ちゃんと処理させろよ、男のアレをよぉ!溜まってんだよ、燃え盛ってんだよ。だってお前らずーっと俺の周りに居て、俺そういうの出来ないじゃねーか、おかしくもなるってんだよ!俺をここまでの状態にしたのはお前らだぞ!人が生きれる環境じゃねぇ!少なくとも若い男が生きれる環境じゃぬぇえ!とりあえず一人にさせろ、すっきりさせろ、さっぱりさせろ。でないと本当に性犯罪者になっちまうぞ。分かってんのかおどれらあ!」

場が静まり返る。

言うべき事は言った。しかしなんだこの罪悪感。

自分の言葉が突き刺さる。責任全部丸投げで、反抗期の中学生だみたいだ。俺に成人式に出る資格はない、もう出れないけど。


あれ?特濃オヤジ。どうした悲しそうな顔して、直視できねぇぞ。

「・・・ごめんな」

・・・そうだよ、分かったかよ。お前が悪くて俺もガキみたいでごめんなさいごめんなさいうぶあぶうひひへひゃあうわあん・・・。

ロレーナが奇妙な物を見る目で俺を覗き込む。

感動的な場面を壊すな的な、あんたが泣くから私泣けないじゃない、的な。


ああ、俺泣いてるんだ。


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