第七章〜桜花祭一日目〜
「これより第二十三回桜華祭を開催致します、学園生の皆さん、御来場頂きました皆さん、存分にお楽しみ下さい」
欄の御姉様の挨拶で始まった。
「さぁ、鞘いこー」
そう言って欄が私の腕を引いてあるきだす。
「はいはい、わかったから引っ張らないで」
苦笑を漏らしながら、引かれるままに歩いていく。
私達の休憩所に。
始めに言うと全くの予定外だった。
なにがって……。
「さ、さや…助けて〜!」
この込みようだ。
最初の三十分は誰も来ないで予想通りだった。
何を間違ったのか、そのあとから休む暇なく常にいっぱいいっぱいだ。
休憩所にこんなにたまってどうするのと言いたくなるくらい。
そんなことを考えながらも手だけは動かす。
「欄落ち着いてね、はいこのアップルティは手前のお客様、コーヒーは右のテーブルとその後ろね、慌てなくて大丈夫だから、頑張ろう」
自分のいっぱいいっぱいの所は見せたくないから、笑顔で答える。
「う、うん、わかった!行ってくる」
一日目は始終こんな調子だった。
「只今の時間を持ちまして、一日目の桜華祭を終了致します、御来場頂いた皆様有り難う御座います、また明日も是非、御来場お願い致します、生徒の皆さんはお疲れ様でした、明日も一日頑張りましょう」
欄の御姉様のその放送があったあとまで私達の休憩所は込み合っていた。
見かねた、二年、三年の生徒会の人達が、本日はもう終わりなので…といって、帰すのを手伝ってくれなかったら、いつまでやっていたかわからない。
「本当に有り難う御座いました、ご迷惑お掛けして申し訳ございません」
全て終わったあと皆にそう言って、一日目は終わった。
「鞘〜疲れたー、私今日頑張ったから鞘と一緒に寝る」
私が何を行っても聞き入れず、部屋に戻った瞬間ベッドに横になって寝てしまった。
その寝顔は疲れているものの、凄く何かをやり遂げたといった満足そうなとても可愛い寝顔だった。
私は、欄の頬にお疲れ様といって、軽くキスをした。
欄は嬉しそうに、
「…えへへ〜」と笑って、いい夢を見ているようだ。
そんな欄を見つめながらシャワーを浴びて、あたたかな欄を抱き締めて眠りに落ちた。
「………」
私も何かとても嬉しくて幸せな夢を見ていたはずなんだけど、起きた時にはその感覚と気持ちだけが残ってるだけで内容を綺麗に忘れてしまっていた。