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桜と二人  作者: 榊燕
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第六章〜桜華祭〜

会長となってから、二ヶ月。

大きな仕事もなく、簡単な雑務と仕事を覚えるだけの日々。

どうにか仕事にも慣れてきたころ、各学年の生徒会が集められた。

「それでは、桜華祭についての話し合いを始めたいと思います」

燗の御姉様で三年生の生徒会会長がそう言って話し合いが始まった。

「鞘と燗は解らないと思うから、まずは話しを聞いて、どういったものかを理解して、もちろん何か気になる事や意見があれば、どんどん発言してね」

私達は解りました、ありがとうございます、と言って話に耳を傾ける。

話しを聞いていると、まず規模の大きさに驚いた。

そして、生徒会の力、権限の大きさに。

教師に関して許可をとる必要もなく、生徒会が許可をだせば教師は口を出せなくなるくらい。

意外と長い時間の話しあいになった。

と言っても、殆んどが、燗の御姉様達二人しか発言せず、他の人達は頷くだけだった。

「そうだ、一年生の生徒会の出し物はメイド喫茶にしましょう」

各学年の生徒会の出し物を話し合ってる時、突然二年生の燗の御姉様がそんなことを言い出した。

「まぁ!いいわねそうしましょう!」

周りの人達もいいですね、やら、流石会長等と騒ぎ出す。

あまりに突然で反応が遅れてしまった。

ほぼ決まりかけた時、やっと私も正気を取り戻して、キッパリと言い切った。

「嫌です、お断り致します」

この発言で慌てたのが、周りの役員達。

馬鹿だとか、怖いもの知らずとか、頭が弱いんじゃないのかしらとか、いろいろと混乱したざわめきが起きた。

「まだ、二年生の方々も三年生の方々も出店するものをお決めしてないのですから、お二人がおやりになればよろしいのでは?」

そんな周りの声をむしして、そういいはなった。

周りの人達は頭を抱えて机につっぷくしていた。

「……あっははは、相変わらず、容赦ないねぇ、敵にまわった人にたいして、大丈夫、大丈夫、冗談だよ、鞘を敵にまわすきなんてないから、そんな怒らないで」

とても楽しそうに笑いながら、そう言ってきた。

全く、油断も隙もない、あわよくば本気で押しきろうとしてたくせに。

「そうでしたか、申し訳ございません、つい熱くなってしまい、先輩方にあのような口を聞いてしまって」

そんな事は一切言わず、素直に謝っておいた。

「じゃ…」

私の謝罪を聞いた瞬間良いことを思い付いたといった表情が三年生の燗の御姉様に浮かんだ。

「嫌です」

まぁ何を思い付いて、何を言おうとしたかが解ったので、全て言う前に断った、ニッコリと笑いながら。

「あー了解、もう言わないから怒らないで」

頭をかきながらやっぱり駄目かぁといいながら、やっと諦めてくれた。

「じゃあ、ひとまず今週中に各クラスと自分達のやる出し物は決めておいてね、それじゃーこれで解散〜お疲れ様〜」

燗の御姉様二人はそう言って、立ち去ろうとする。

「えっ!今まで話し合ってた議題はどうするんですか?」

思わずそう聞くと、本当はもう決まってると言い出した。

「鞘と燗のメイド服が見たかったから、それだけの為に開いた会だもの、失敗したから終わり」

さらっとそんなことを言いながら、部屋を出ていった。

呆然としていると、周りを囲まれていた。

何事かと見回すと。

「あなた凄いわね!」

等と、何故か尊敬されたり誉められたりと、意味が解らなかった。

そんな騒ぎの中、最初から最後まで燗は机のうえでだらしなく眠り続けていた。


結局私達がやることになったのは紅茶とコーヒー、お茶を出す休憩所になった。

欄と二人でやるため、選択肢が少なく困ってるとき、過去の桜華祭で休憩所をやっていた人達がいたのでそれに一工夫して、こう決まった。

問題は……。

「欄、あなた何もいれられないよね?」

「うん、でも鞘が教えてくれるなら、頑張って覚えるよ!」

欄が飲み物をいれたことがないことだ。

一度だけ試しに作らせたが、身体の弱い子なら、体調を壊してしまいかねない味だった。

「時間ないから、本気でいくよ、今回は泣いても駄目だから、覚悟きめて頑張ってね、私も頑張るからね」

「う、うん、わかったよ頑張る」

少し気後れしながらもしっかりと言ってくれた。

そして、桜華祭までの一ヶ月、各クラスと自分のクラスの準備を手伝いながら、欄に飲み物のいれ方を教えた。

とにかく忙しくあっというまに日にちがたっていった。


会長、副会長といっても、やれることはお手伝いだけ、だからこそ来年はこんなことにならないように、先輩の仕事を見せてもらい過去の桜華祭のデータをみて勉強したりした。

そんなこんなで桜華祭の前日。


「欄……明日は頑張って、運んでね…」

欄に一ヶ月で教えるのは無理だった。

「ごめんなさい…」

そして桜華祭は始まる。

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