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Zeke(HG)ラノベ版  作者: yatsureCreate
3/7

第2話

今日はとても天気が良い。そして気分は最悪だ。

今頃どや顏で先生に課題を提出し、上機嫌で授業を受けている予定だったのだが

大掛かりな目覚まし仕掛けを掛けない限り、一人で予定時間に起きる事など

不可能に近い自分の特性をすっかり忘れ、ベッドに入り込んだ昨夜の自分が恨めしい。

もうお昼に近い。なのに私は今通学路にいる。まさに悲劇。

水をかぶると女になっちゃうふざけた体質なんて目じゃないな。

学校に着けばお決まりのパターン

先生に怒られて、また課題を水増しされて

そして明日また遅刻するというところまで未来予知ができた。

なんという負のスパイラル。

・・・悪いのは私なのだが。


「滅びないかなぁ・・・世界」


とても賑やかであるはずの、商店街ど真ん中で呟く内容ではないが

今のこの感情を発せずにはいられなかった。

しかしふと、違和感に気付いた。

正直、人に聞かれたら恥ずかしい一言を声に出してしまったので

誰かに聞かれてなかったか、周りの気配を一瞬気にしたのだが

そういえば今日はまだ人を見かけていない。

普段なら平日の昼間だ、喫茶店や商店街のおじさんおばさんが

それなりにガヤガヤしていたと思うが、今日に限っては

静まりかえっている。

周りを見渡せばいいのだが、何故だろう

首が動こうとしない。


パァっと、突然目の前が光に満ちた。

目眩しか!?と瞬時に思い、腕で目を覆うようにするあたり

私はゲームのやりすぎなのかもしれないが

今まで確かに誰もいなかった、私の10メートル先位の位置に

気づけば女性が背を向けて立っているのは

ゲームのやりすぎ加減は関係ない筈だ。

まるで、光と同時に現れたかの様な

全体的に青い服を着た女性に戸惑っていたのも束の間

またも光が視界を覆った。

そして目を開けた瞬間、私は目を開けた事を後悔した。


丁度先ほどの女性と私の間に、巨人が現れた。

思わず巨人と表現したが、人ではない。二足歩行のナニカだ。

ナニカは二階建ての家と同じくらい大きい所にまず目が行くが

それよりも全身の皮膚がただれてる醜悪さに身震いが収まらない。

まるで人体模型の半身だが、私が想像する模型より

全体的に青黒く、一本一本の際立つ血管が私の腕ほどあり

ドクン、ドクンと脈を打っているのがこの距離でも見てとれた。

ナニカは私に背を向けているが、動けばその丸太の様に太い腕が

私に向かってきそうで、逃げるという選択肢を思いつかなかった。

この場で舌を噛み切った方が楽になれるんじゃないか、とは考えたが。


なにやら女性とナニカは会話をしている様に聞こえた。

というのも、もうこうなっては自分の感覚を信用できない。

今全力で目の前の視界に広がる異常な状態を脳内で処理し

精々次の呼吸のタイミングをはかる事で一杯だった。

そうしてやっと呼吸のタイミングが来たと思い

息を吸った瞬間、爆音が鳴り響いた。

まるで目の前で打ち上げ花火の玉が爆発したのかと思うような現象は

私の見間違いでなければ先ほどの女性の元で起きた。

女性の叫び声が聞こえた。私は自分の耳を疑った。

驚愕な事に、爆発元であった女性は生きていた。

だがその時、「ひっ・・・」という悲鳴が、確かに聞こえた。


すると、突然ナニカがこちらを向いた。

正面の姿は、更にその禍々しさを増していて

特に左胸部には、身体中の管に血液を送るのにふさわしい

大きな心臓が露出しており、先日クリアしたホラーゲームを

具体的にイメージさせた。

どうやら悲鳴を出していたのは自分だったようで

それが原因で私の存在がばれ、ナニカがこちらを向く悲劇に繋がった。

自分の愚かさ加減を恨む間もなく、私は死を悟った。


刹那の時もなく私は絶命すると確信したが、どうやら私はまだ生きている。

その理由は、あまりの急展開に理解仕切れていないが

私の角膜が仕入れた情報によると、私の方を向いたナニカは何かをつぶやいていて

そうこうしているうちに、女性の声と共にナニカは断末魔の叫びを上げ

砕け散った。

それと同時に、奥にいた女性が倒れこんだので、直感的に私は

女性の元に駆け寄った。

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