第5話 て、貞操が……。
今回は少し短めです。
と言うより今回から短めになると思います。
投稿ペースはこんな感じで早ければ2日置き、遅くても1週間置きには投稿する予定です。
投稿ペースが落ちる場合はお知らせいたします。
また、何か不自然な点や気になるところがあった場合は遠慮無くコメント下さい。
と、露骨なコメ稼ぎ。
なんとかうまく奴隷になる事に成功した鞘鬼はケツが割れる思いをしながら馬車に揺られていた。
いや、ほんと割れちゃう。
どうやらこの世界にサスペンションと言う装置は存在しないらしい。
ケツの痛みを紛らわすため、鞘鬼ゆっくりと、回想にはいる。
いや本当によく貞操守れたな僕…。
奴隷商のいる所まで馬に馬車を引かせていると、道中に何か黒っぽい物を見つけ、目を凝らす。
「おい‼︎なんか珍しい服着てる奴が倒れてるぞ!」
鞘鬼が生き倒れたフリをしていると、馬車を引いていた2人組の盗賊が商品が増えると思い、馬車を降りて駆け寄ってきた。
実際は意識もちゃんとあるのだが、盗賊達がそれを知る事はない。
「おお、黒髪黒目の美形だぞ‼︎服だけでなく容姿も珍しいな。男だがこりゃ期待できるぜ。」
そう言い、さっそく隷属の首輪をつけ始めるが、もう一人の盗賊が何か怪しい動きをして居るのが、索敵越しに分かる。
「な、なぁ。売る前にこいつで一発くらいやっても良いよな?」
は?ちょっと待て‼︎
今なんてった?
今なんてった⁉︎
「お、おい。いくら美形ってもこいつ男だぞ?お前まさか、男気が有ったのか?俺はノーマルだから辞めてくれよ。」
そうだそうだ。それが普通だ。
俺もやめてもらいたい。
「おいおい。心外だなぁ。俺もちゃんと女が興味あるぜ?だけどこいつ見てるとなんか、一回くらいなぁ。」
オイィィイ‼︎
本気で貞操の危機を感じ始めた頃、ようやく奴隷化が終わったらしく、純潔を散らされる前に素早く迅速に目を覚ます(フリをする)。
僕に首輪を付けていた方の男、後少し作業が遅かったら命は無かっだぞ‼︎
「う…。んー。」
体を起こし、わざと虚ろな表情を向け。徐々に盗賊達に目のピントを合わせていく。
「ち…。起きたか。」
ねぇ今チッって言ったよね?
チッて言ったよね⁉︎
「起きたか?残念だったな、もう少し早く気付いてりゃ逃げられたかも知れねえが…。今日からめでたくオメーは奴隷だ。まぁ、逃げれても今の状態じゃ飢え死ぬか、魔物に食い殺されてるだろうけどな。安心しな、お前は売りもんだから最低限の飯と安全は保障してやるよ。ほらさっさと乗れ‼︎」
そう言われて引きずり込まれた馬車の荷台の中には先着の奴隷(女)が、3人乗っており、その後に例の盗賊が荷台に乗ってきた。
それから馬車に揺られること1時間。
まぁ、そんなこんなで今に至る訳だ。
いや、本当1時間も頑張ったと自分で自分を褒めたい。
だってこの馬車ケツが痛いわ痛いわ……。
まぁ、そんな事は置いておくとしよう。
今実は重大な事態に直面して居る。
さっきから盗賊の視線が色っぽくて、いろいろ危ないって?
その件に関しては拒絶出来るから問題ない。
まぁ、それなりに危機を感じているから、どんなにケツが痛くともうつ伏せになったり寝転んだりと、あいつにお尻を向ける行為をしていない訳だが……。
あ、そうそう、奴隷に成ったのになぜ拒否れるか、それは自分でも意外だったのだが、少し調べたらいろいろな事が分かった。
まず、現状の関係だが。
僕が奴隷で、盗賊が所有者に成っており。
奴隷契約者の欄は空欄になっている。
何故空欄になっているかというかだが、これはさっきの拒絶出来る理由にも関係あるのだが……。
まず奴隷契約者と言うのが、良くファンタジー系である奴隷と主人の関係だ。
基本、奴隷は主人には、逆らえない。
基本、というのは、命の危機や、最低限の権利に関することがあるからだ。
いくら主人でも、奴隷に対して死ね!という命令等は出来ないようになっている。
また、主人から食事を貰えなかったり。命に関わるほどの暴力を受け続けている場合に限って反撃する事が出来る。
奴隷といっても使い捨ての駒では無いのだ。
そして一度奴隷契約を済ませてしまえば主人を変える事は出来ない。
契約解消する事は出来るが、それは解放にあたり、解消された側の奴隷は奴隷から解放されて一般人となる。
さて、こうなってしまうと、一度契約した場合はに、主人が変更できないため、奴隷に関する商売が成り立たなくなる。
そのための所有者である。
これは奴隷契約の劣化版のようなもので、逆らったり反抗したりはでき無いが、大きな強制力は無く、できる命令も大きなものだけ、例えば具体的に「夜伽しろ!」みたいな事は不可能である。本当に、最低限逃げられ無いようにする措置。のようなものだ。
これのおかげで、盗賊から尊厳を守る事ができた訳だ。
いろいろ説明してしまったが、コレは余り重要な事では無い。
そう重大な事態。
それはなんと先輩にあたる奴隷達の事である。
なんという事でしょう、1人はなんと耳がシュッとトンがっていて、碧眼ではありませんか‼︎
そう‼︎それは、まごう事無きエルフではありませんか。
もちろん超美人‼︎
いやぁ、こういうところのエルフって大抵種族柄的に美人ですよね。
そして、なにより此方に注目‼︎
残りの2人、なな、なんと‼︎
モフモフではありませんか。
これは一大事です‼︎
ぜひモフモフしたい。
いえ、ぜひモフモフさせて下さい‼︎
特に……特に、右側のリスの耳と尻尾を持った方‼︎
その尻尾を…。
その暴力的モフモフな尻尾をどうか‼︎
おやおや、少し取り乱してしまったようですね、失礼失礼。
それに後1人の獣耳さんも、テンプレ的に猫耳ですね。いや、シンプルかつ可愛い。
恐らく全力でモフリに掛かれば誰も僕を止められ無いでしょう。
それにあたり、理性を制御するのに一苦労です。
おっと、僕の左側にも理性を必死に保っている盗賊さんが居るので決して笑えませんね、ええ。
今夜あたり襲われるのでしょうか?
そんなどうでもいい事を考えていたら今日の野営地に着いたようです。
会話を聞いた感じだとここで一泊したら明日の午前中には目的の街に着くそうで、そこで僕らは奴隷商人に売られるそうです。
どうやら仕入れ予定はエルフの女が1人と獣人の女が2人の予定だったらしく、予定外、しかも男の僕は売るのに時間がかかる可能性があるそうです。
いやぁ。出来ればすぐに売られたい。
僕の貞操のためにも。
そんなこんなで野営の準備が出来ました。
最低量かつ最低限のクソ不味い餌を与えられた後、硬い荷台でごろ寝です。
ええ本当飯の不味さときたら……。
飯というのもおこがましい…正しく餌。という感じのものでした。
その後に少し後悔。
うーん。風呂に入りたい‼︎
盗賊に捕まる前に体を魔法で洗っておけばよかっですねほんと。
魔物との戦闘の時かいた汗が気持ち悪い…。
あ、そうそう。
魔法やスキルについてはどうやら許可されない限り使えない用になっているらしいです。
僕のやつは魔法では無く魔素を操っていますし、スキルの格が違うので問題無く使えるのですが不自然に思われないためにも使うのを控えるべきでしょう。
我慢我慢。
そんなこんなで朝を迎え、予定通り昼前には街に到着‼︎
盗賊が街に入れるのか?と思いましたが、何とヘンタイさんのスキルで盗賊2人はあっと言う間に商人に…。
ほんとこの世界のスキルって便利。
その後は奴隷館に向かって直行。
僕を買ってくれるかな?
と心配していましたがそんな必要は無かったようです。
むしろ…。
「いやぁー。ほんとよかった。こういう奴隷を待っていたんですよ。容姿が良くてある程度働けるような青年。しかも黒髪黒目の珍しさと来たら‼︎ぜひ買わせていただきたい。」
てな感じで、予定の3人そっちのけで買取が決まっちゃいましたね。
僕の価値、金貨20枚。
少し落ち込みましたねはい。
お金の価値についてはあとあと説明していきましょう。
意外な事に服などは強制的に奪われたりしないようです。
一応館にある服に着替えさせられましたが、持ち主の持ち物になるそうです。
なんでも買われた時に持っていけるとか…。
そんなこんなで今日は風呂にぶち込まれ終了です。
明日からどういう事が出来るかの確認と、奴隷や従者としての訓練等が始まるそうです。
そこは買ってもらうため、自分の有用性もアピールする事も含めて、今日中に『理の扉』の情報をもとに『知恵』で完璧に覚えて奴隷商人を驚かせてやるとしましょう。
「ぐあぁぁぁ!!」
その夜、何処かの奴隷館で、全く学習していないバカの悲鳴が響いたとか響かなかったとか……。
『理の扉』怖い……。