第10話 ねぇ神様。
早くオキト無双が描きたいけど…。
下地作りの話がなかなか進まない!
まだまだ、屋敷の中のお話がしばらく続きます。
「シン・アスカ、デスティニー、行きます‼︎」
フィリップがオキト達の元に駆けつけると巨大なゴーレムがいた。
いや、二度見したんだけどやっぱり現実なのね、うん。
知ってた。
フィリップが見ているゴーレムはとても人に近い形をしていて。
色は全体的に白、身体部分は青く、背中には赤い蝶の羽のような翼が付いていて、詳しい人が見ればまんまデスティニー○ンダムそのものだと分かることだろう。
ただ一つだけ言える事は、この世界のゴーレムとは一般的に大きさは人の肩程度であり決して3階建ての家ほど大きくはないし、基本は岩や土の塊。
動作も鈍く、その反面防御と力が強いというものだ。
それらのことからこのゴーレムを見てみると。
土の塊?なにそれ?思いっきり人形じゃん。
今思いっきり飛んだり蹴ったりしてたけどメッチャ動けるじゃん。
ていうかなんか魔法の剣持ってない?
おかしくない?
である。
そして本来ゴーレムは単一の命令とともに作成されそれを終えると消えてしまうものだが……。
これって絶対消えないよね?
こんなの一瞬で製作、消去できるとか本格的にヤバくね?
どこと戦争するつもりかな?
てか乗り込んで操作してらっしゃるし、これもカラクリなのかな?
そう思っていたのに気付いたのだろうセバスが近寄ってきて。
「フィリップ様、アレはまぎれも無くゴーレムだそうです。
正確には、錬金術でカラクリの体を作成、それをゴーレム化して乗り込み操るだとか……」
と、説明してくれた。
へーあれゴーレムなんだ。
あ、オキトが降りてきたよー。
もう嫌だ‼︎
と思いつつも諦め、降りてきたオキトの元えと近寄っていく。
「オキト!私にもやらせさて!」
フィリップが近寄っていくと、死角に成って見えなかったのだろうが、娘のクラミーがいることが分かった。
そしてオキトはそれに対して、楽しそうに微笑むと、膝をついて待機しているゴーレムに向かって呪文を唱える。
「コマンド・クローズ」
するとそのゴーレムはオキトがいつも錬金術を使うときの様に小さなツブツブに変換されると、手元に集まり、ゴーレムだったものは銀色に青い魔石がはめ込まれた鍵の様なペンダントに変わっていた。
「システムコマンド・管理者権限を変更・1位クラミー・2位フィリップ・3位オキト。」
そう言い終わるとオキトはペンダントのチェーンを広げキラキラした目でオキトを見ているクラミーの首にペンダントかけてた。
クラミーずるい、俺も欲しいあれ‼︎
「コレはクラミー様に上げます。
ペンダントに魔力を込めて《スタート・デスティニー》で起動しますが、一人で遊ぶ時、長距離の移動時、本当に危険な状況に陥った時。以外は使わない様にしてください。
そしてくれぐれも他人に見られない様に気おつけつけて使用することを約束してください。」
「分かったわ!それより今から乗っていいかしら?」
「はい、最初だけは一緒になりましょう。やり方をお教えします。」
と、フィリップの見ている前ではしゃぎっぱなしのクラミーが楽しそうにゴーレムを起動して、それに二人で乗り込む。
「本当に楽しそうだな。クラミー。」
「ええ、クラミー様はオキト君に大変な付いておられますので。」
どうやら声が出ていたらしく、セバスが優しい笑顔で見届けながら声をかける。
本当に仲良くなったものだ。
「最初はどうなるか心配だったのだがな。」
「ええ、クラミー様もオキト君をお認めになられたのでしょう。それだけオキト君は凄い人物だということです。」
そう、オキトは凄い奴だ、凄い過ぎるくらいに、何故奴隷をしているのか、何故わざわざ私たちに使えているのかわからなくなるくらいに。
クラミーとも最初は険悪だった、そうあの時は。
あの時は本当に色々な意味で驚かされたし、オキトの凄さの一端を垣間見た気がしたのだ。
◇◆◇◆◇回想◆◇◆◇◆
あの時は、朝オキトとタンクとやらの話をして屋上に設置場所を見に行った日だった。
運動すると言ってオキトが4階に当たる屋上から飛び降りて庭に出た時はビックリしたものの、私ですらスキルを使えば無傷で飛び降りれる高さだ、オキトが怪我の一つもするはずは無いと、すぐにわかったし、実際にほぼ無音で身体能力だけで着地した時は違う意味で冷や汗をかいたものだ。
彼の力は底知れないと。
しばらくしてからクラミー達が起きてきた。
その日は家族全員で食事をとり、セバスらを引き連れ全員で庭にいるオキトの元え向かった。
その時オキトは大きな鎌を流れる様に振り回しながら、さながら演舞の様に舞っていた。
しかしフィリップは家族が演舞に見とれている中、フィリップだけはその大きな鎌、禍々しい中にも何処か神聖な雰囲気を持つ鎌に目を焼き付けられていた。
そうしていると、オキトがフィリップ達に気付いたのか、武器をなんらかのスキルでしまいこちらに向き直って礼をしてきた。
だかフィリップはまだあの武器のことが焼き付いていた。
【武器鑑定】
防具や物、人は見ることの出来ないが、
武器限定でステータスや効果等の全てを見ることができる。
フィリップの持つスキル一つであるがそのスキルがあるせいで旋律と恐怖を覚えた。
==================
銘:【暴食・絶対者】
耐久値:100%
斬撃力:SSS
打撃力:SSS
耐久力:SSS
【??????】
【??????】
==================
あの武器はなんだ、王都にある宝剣とされる伝説の武器、それと大差無いステータス値。
【武器鑑定】で覗くことの出来ないあの時2つのスキルはなんだ?
そしてあの武器を扱えるオキトは本当に何者だ?
もし奴隷としての契約が無くなってしまったらどうなるのか?
そんなフィリップの思考をよそにクラミーはそそくさとオキトの元えと近寄っていく。
「あなたがオキトね?サッサと契約するわよ。」
するとオキトはもう一度お辞儀をすると膝をつき奴隷の首輪をクラミーに見える様に頭をさげる。
奴隷の首輪は主の血を垂らし、本契約することでそれは紋章となって右手の甲に現れる。
現れる紋章は家によってそれぞれで、血の紋章と言われ、クラミーの場合はクラリス家の紋章がオキトの手の甲に現れる。
クラミーは腰に下げていた短剣で自分の親指を指すとオキトの首輪に血を垂らす。
オキトが少し発光すると無事手の甲に紋章が浮かび上がる。
無事に契約できた様だ。
だか安心していたフィリップは次のクラミーの行動に汗を垂らす。
クラミーは良くも悪くもお人好しなのだ、自分専用の自分に縛られた奴隷が居たらどうするか、それは少し考えれば分かることだろう。
クラミーはオキト右手をとり紋章に血を垂らそうとする。
フィリップは待て!と叫ぼうとしたがそうすることができなかった、否、そうする必要がなかった、もっとも意外な、本人からしてみれば当然な人物がそれを止めたのだ。
「クラミー様、何をなさるおつもりですか?」
オキトがクラミーの手をとって止めた。
「奴隷を解放するのよ。私に支えるのに奴隷な必要はないわ。」
その言葉にオキトがため息を吐いたのがわかった。
「クラミー様は優しい様ですが、クラミー様は私のことを何も知らないはずです。
信用できない人物を解放するのはいけません。」
「そんなの関係ないわ、貴方だって解放された方が良いはずよ。」
そして奴隷としてはあるまじき、いや、主を慕う奴隷としてはある意味当然の言葉をクラミーの目を射抜く様に見て言った。
「優しいことと愚かな事は違います。
クラミー様は冒険者になりたいのでしょう?
愚かは身を滅ぼしますよ。」
そして言い争いが始まる。
「愚かじゃないわ!今までそうやって生きてきた!」
「だから愚かだと言っているのですよ。
今までは貴女は守られてきた、だからこそ、守りがなくなった後に気付いては遅いのですよ。」
「そんなもの力でどうにかしてみせるわ!」
「力以前に知り見極めること、情報は全てにおいて有効です。
私が解放された途端クラミー様を襲わないとは限りませんよ。」
「貴女なんかに襲われても負けないわ!」
コレにはオキトは被せ気味に即答する。
「いえ、負けますよ、クラミー様は弱いですから。」
オキトはハッキリといった。
クラミーが弱いと。
クラミーは騎士の隊長クラスの実力は持っている。
冒険者でいうとBランク手前相当。
一流と言われる程の力を持っているのだ。
「奴隷なんかよりは強いわ!」
クラミーは剣を抜く。
素早い速度で膝をついているオキトの首を確実に取りに行く。
他の家族やメイドらはオキトが危ないと止めに入ろうとするがフィリップが動くのを制す。
最初は怪訝に思う彼らだったが、すぐに理解する。
オキトは振り下ろされた剣を立ち上がるのと同時に側面を捉え、受け流す様にして足元にいなす。
そのまま踏み込み掌底打ちで顎を狙うが奴隷の紋章が発動して動きが止まる。
それにクラミーは切り返しで、オキトを切ろうとする。
コレにはフィリップも止めに入ろうとするが、クラミーの剣がオキトを切り裂いた時オキトの姿が歪む。
「相手の力も見極めれない事は冒険者として命取りですよ。
言ったでしょクラミー様は弱いです、と。
死にますよ?」
オキトの姿はそのにはなく、切り裂いたのは残像だった。
クラミーだけでなく周りから見ていたフィリップまでもがオキトの姿を見失う。
シャリッ‼︎
次の瞬間ピキンと言う音と共に目の前に白い糸の様なものが写り後ろからオキトの声がする。
「奴隷の紋章が有るから、奴隷は主を殺せない。と言うわけではありません。
術式に認識されなければ奴隷とて主を切れますよ。」
フィリップとクラミーが声のした方に向くと、居合の形で刀を納刀するオキトの姿が。
カチリ。
音を立ててオキトが刃をしまった瞬間。
オキトからみて、クラミーを挟んだ向こう側。
目に残る白い糸の様なものに沿って、木が山が屋敷が…空気、否。
空間そのものがズレ始める。
「なっ…!」
クラミーが言葉につまりフィリップは半ば青ざめながらずれ落ちる世界を見届ける。
「さて、今のは物体ではなく魔素を切り裂きました。
魔力は微量ですが魔素を含みます。
そして魔素同士は干渉して摩擦力等の抵抗が生まれるわけですから、鋭く細くして、速度をつけて切り裂けばこうなるわけです。
魔素とは世界を構築するいわば世界そのものですからね。空間がズレるわけです。
世界の修復力が働いてもうすぐ元に戻りますよ。」
静寂が続く中オキトがそう呟くと、オキトが言った通り世界が修復し始める。
その姿を眺めているフィリップ達は、オキトが内心超絶焦っていることを知らなかった。
◆◇◆◇オキト視点◆◇◆◇
こんにちは。
今魔素を切り裂いたとか色々言ってますがはっきり言って超絶ビビってます。
僕がやろうとしたのは幻術の一種で、まぁ、目の錯覚ってやつです。
刀の居合などを近距離で認識外から行うと目が切られたと捉えます。
その事によって脳が切られたと錯覚してしまう現象なのですが…。
世界きっちゃしました、テヘペロ。
ビックリしましたが、やばい!ドウシテコウナッタ?と思ったらなぜか理由がわかったので恐らくはチェルシーが情報を入れてくれたのでしょう。
助かりました。
そしてこちらもなぜか、切り裂いた空間元に戻るよね?と思ったら、戻ることが感覚的にわかったのでとりあえず説明しましたが…。
とっても焦りました。
どれくらいって?
そりゃもう口調が全然作者の設定したオキト君じゃなくなってキャラ崩壊するくらいですねはぃ。
何がともあれ、なんとかなって助かりました。
そう、オキトもオキトでこの現象は予想外だったらしく、とても狼狽していたのだ、内心だけではあるが。
そして内心狼狽しまくっていた為に、聞こえてきたスキル音にオキトは気付くことはなかった。
【世界議事録】が発動しました。
【世界議事録】が停止します。
【厨二病】を発動。
想像の創造を開始します。
空間の修復を開始。終了しました。
【厨二病】を終了します。
◇◆◇◆その時の神の世界◇◆◇◆
「ネミュレミ・ミュレ・ネネロス・ネネル様。下界にて【世界議事録】と【厨二病】の発動を確認しました。」
その言葉を聞いてネネはガバッと立ち上がる。
やっとか、オキトが思い出し始めた。
ネネはモニターに映し出されたその時のオキトの映像を見ながら一人でに呟く。
「世界を生きる神の力…。オキトが私の為に忘れ去った力…。だから私が思い出させる。オキトの力を記憶を。私の、世界を創る神の力を捨ててでも。」
その言葉には何処か決意の様なものがこもっていた。