第1話 退屈な世界を
初登校です。
主は単純なためコメント。ブクマ等が来た場合はとてもテンションが上がるのでじゃんじゃん書いてください。
あ、叩かれたら泣けます。
けど改善の必要がある場合は言って下さい。
出来れば優しくオブラートに包んでお願いします。
いやマジで。
「それは人生から?それとも…。
ーーーーーーーーーーから?」
鞘鬼の上で、まるでイタズラが成功したこのように笑い。
楽しそうに頭の上に浮かぶそれを、鞘鬼は待ちわびていたかの様に見返し、楽しそうに答える。
「じゃあ君は-----に、
---------のかい?」
今日も楽しくつまらない日常を彼は繰り返す。
刃刄切 鞘鬼は、近所のマンモス校、勉武館高校に通う3年生だ。
この高校は名前の通り文武両道を掲げており、世界中の有名校に対し、世界有数の進学率を誇る進学校でありながら、高校総体の上位を独占する有数のスポーツ校でもある。
彼はその、並以上の運動神経か、並以上の成績を持ってないと進学の、しの字も見えない勉武館高校に徒歩5分くらいと言う理由でで通ってる、自称"普通"の高校生である。
4月8日。
朝08:00分に目を覚ました彼はチャチャッと5分で用意を済ませ、始業式に参加するため3年生最初の登校をはじめる。
家をでて学校え向かう途中に、学校の近くであるに関わらず誰一人とも生徒とすれ違うことは無いのだが、かれは既にいつもの光景だと見慣れていた。
4分ほどで着きホームルーム開始間際に登校した鞘鬼に教室中の視線がいっしゅん集まり、また各自に霧散する。
この光景も新クラス始まってすぐだからの反応でありすぐに皆んなも慣れるであろう。
集まった視線を物ともせず自分の席に着くと机に伏せていつもの口癖を呟く。
「またつまらない、日常が始まる。何の
変哲も無くつまらない僕が生きていく。」
目の焦点をどこにも合わせずぼーっとしていると、担任であろう教師が入ってきてホームルームがはじまる。
話を聞き流しながら、そういや担任の名前なんて言ってたっけ?担任の名前くらい知らないと困ったなー。などと、どうでもいいことのように考えていると自己紹介が始まった。
この学校は人数が多い為クラス変えのたびに人が総入れ替えされ、まずまず'やったねー!今年も同じクラスだ!よろしく‼︎‼︎'なんてことは起こらない。
もちろん教師も生徒全員を把握しきれているはずもなく、クラス変えのたびにまるで新入生のような自己紹介が始まる。
今年の担任は趣味やこの学校に来た理由とかまで言わせるのか、好きな飲み物プロテインってあれ、厳密に言うとドリンクではなかった気がするけどな。
あ、もう俺の番がきた。なんて答えよう。
「次‼︎えーと、刃刄切 鞘鬼くん。」
名前を呼ばれ言うべきことを思い出しながら、すこし怠い腰を上げる。
「刃刄切 鞘鬼です。進学する気はありません。スポーツもプロに行く気も無いです。この高校は近かったから来ました。えっと後は……。今までの思い出…思い出。心に残ってることや楽しみっと……。あ、アレですねやまに行ってもキノコは止めたが良いですよ。死ぬかと思いました。そして、最後は……。授業をどんな風に取るのかは…、基本一時限おきに文学、武術、文学…って感じでとりますね、はい。以上です」
静寂…。全員の自己紹介の後に起こっていた拍手が鞘鬼の時だけ起きない。
1人は怪訝そうに。
1人は忌々しく。
1人はバカにしたように。
1人は迷惑そうに。
1人は楽しそうに。
1人は驚いたように。
1人は嬉しそうに。
1人は幽霊でも見たかのように。
見つめる。
そして担任は、
成績優秀な完璧児。入試成績過去トップ。試験成績、1.2年時トップ。スポーツテスト1.2年時トップ。総合成績学年トップの優秀さでありながら、物事に対して興味も持たず意欲が無いわけでも無いが、進んで何かをするわけでもない。
本人の言っていた通り近いという理由だけでこの高校に通う超問題児か……。話は聞いてたけど本当とはねぇ。
誰にも聞こえ無いようにそう呟き、もったいないねぇ。とため息を吐く。
周囲を見渡し。唖然としたり間抜けな顔をしたりしている顔を一通り眺めると、鞘鬼は、
こういう反応は面白いかも…。
と思いながら席に着いた。
さてここで、鞘鬼が浮いていた理由をかるく説明しよう。
勉武館高校は08:15までに登校すれば良い決まりになっている。
だがこの高校は単位制であり、授業も後半は選択式と言うどちらかといえば大学に近い仕組みになっている。
合格単位を100とした時、文1以上武1以上さえ取れていて合計単位が100以上取れていればいい。
例えば、文1・武99でも問題なく学期を終えることができる。
そして午前の2時間だけは1限目 武術 2限目文学と言う授業に成っており、その2限をキチンと受け、レポート等をキチンと提出してさえいれば各単位1を取得できる。
そして3.4.5.6.7限目は科目を選択して受けることになり、ここで殆どが、文学を選択する生徒と武術を選択する生徒に綺麗に別れることになる。
中には気分転換も含め完璧に偏った取り方では無く、月1程度のペースで違う分野の科目を取るものもいる。その為、どんな風に取るのか。と言う自己紹介が含まれていたのだ。
そして、選択科目の内容はレベルがとても高いため、文学優先で通っている生徒は自習を、運動優先で通っている生徒は朝練をするために、朝早くから登校している。
そして、とてもじゃないが、どちらかに特化していなければ無事に単位を取ることは、ほぼほぼ不可能である。
そのために、ホームルーム開始直前に登校した鞘鬼は初めから浮いていたし、自己紹介の《家から近いから》《どこにも進ま無い》《交互に授業を取る》と言う言葉が止めを刺し、あの沈黙だったのだ。
そして本来はそんな適当では単位も取れ無いしそもそも進学できていることが奇跡であり、適当に見える態度から、忌々しく見たり、バカにしたりする目線が集められたのだ。
ただ、事実として、彼は進学も出来ているし、単位も取れている。そして生徒の大半は知ら無いが文部ともに文句のつけようがないほど完璧なのだ。
それに少しでも気づけた者たち。
しまった体や何気ない鞘鬼の動きを見て、彼の実力の一端でも見抜くことの出来る目や感を持った者。
話し方。ぼーっとしながらもキチンと物事を処理していた言動を見て居たり、試験のトップにあった名前と一致することに気付いた者。
そういった者たちは、期待を込めたり。嬉しそうに、楽しそうに、見極めるように見ていたのだ。
ホームルームが終わると始業式が、始まるため、別館の集会ホールに移動する。
何処にでもあるありふれた始業式、何処でも共通する校長の長ったらしい話の後に今年度の生徒会メンバーが、紹介され始業式が終了する。
今日は初日のため始業式の後すぐに学校が終わり、後はクラスの親睦を深めるため、教室で残って皆んなで勉強する者や、グラウンドで思いっきり動く者たちが殆どである。
鞘鬼もクラスの一部〈鞘鬼にまともな視線を送っていた人たち〉に一緒にどうかと誘われはしたが、長時間悩んで期待させておきながらも、面白そうより帰りたい、の方が勝ったために断り、帰路に着いた。
家に帰り着くと服を洗濯機に投げ込み風呂をいれ始める。
全てにおいて退屈でつまらないと感じることの多い鞘鬼だが、風呂は大好きだ。
どれ位好きかといわれれば。
間的にまだ午前中だが、長風呂にはもってこいだと感じているほどには、風呂好きである。
半分ほどたまった風呂に浸かりながら鞘鬼は思考の海に浸る。
安定した日々、
不自由ない日々、
楽しい日々、。
つまらない。
つまらな過ぎて消えてしまいたい。と。
鞘鬼は幼い頃から優秀だった。
それは物心つく前に両親を亡くした反動なのか。
見たことは大抵一度で覚える。
音も映像も同じく記憶し頭の中に記録できた。
物事、理論については、基礎や基本となる理論さえ教えてもらえれば、応用し考えることで、大抵のことは自力で解明理解出来た。
運動神経も決して悪くなかった。
むしろ、見て真似し、更に効率的で効果的な動きに最適化して取り込んできた。
思考に関しても、2つまで並列に考えたりすることができた。
聞けば異常だか、本人はそれが普通で自分をつまらないと思っていた。
彼はやりたい事を何でもやってきた。
それはわがままなのではない。
彼の力で、実力で、行動で、自分の力でできる事の中でやりたい事はなんでもやってきた。
でも、退屈だった。
他人からしてみれば異常でも彼にしてみれば常識であり、退屈な平凡な変哲もない日常だった。
そしていつしか大人になり始め、そんな自分が、退屈でつまらなく思え。
そんな退屈なせいから消えたいと思うように成っていた。
だが、そんな彼にも一時期退屈と思わない日々があった。
それは育ての親である叔父の持っていた山である。
中学生に入ってすぐの夏休み、彼は退屈を持て余し、許可を取って叔父の山に体一つで飛び込んだ。
その日々はとても退屈とはほど遠かった。
生きるか死ぬか、殺すか殺されるか。
生きるための、生活するための知識はある。
動物の狩り方も、出会った時の対処法の知識も持っている。
でも経験がなかった。
新しい経験だった。
今までにも新しい経験はたくさんあった。
でもそれは保障されていたし、安全だった。
スポーツは死ぬわけではないし何度でもやり直せる。
そしていつも最後には極めれる。
でもそれは、パターンのわかっている新しい経験とは違った。
命をかけた経験。
まず安全の確保、野営地の確保がだけとっても、大変だった。
知識を元に安全を確保していく、着実に作業を進めては行くが、経験が足りず上手くいかない。
時間が掛かり安全とは程遠い夜を迎えた。
ライトの明かりに寄ってきたイノシシによって、襲われた。
イノシシの仕留かた、もわかるし、持ち前の運動能力でそれなりの対処はできた。
でもイノシシの動きや行動にたいする知識がなく対応に遅れた。
そして気付いた時には光寄せられたイノシシが、たくさん群がっていた。
動きも慣れ着実に一匹ずつ仕留めていった。
その時はまだ、食料の確保目的もあり、ひたすらイノシシを仕留めていった。
すぐにその場を離れず、イノシシを食料としか見ていなかったのはやはり経験が足りなかったからだろう。
イノシシを処理し終えた頃、血の匂いに寄せられた虫や様々な獣たちが群がってきた。
その時は流石に対処しきれないと悟り、数少ない持ち合わせの道具、ライトや、ナイフなどを放置しやむなくその場を去った。
その場を離れている途中に熊にぶつかった時は、本気で終わりを感じたが、なんとか生き残る事が出来た。
荷物もなく流石にヤバいため下山する事を決めたが、問題が1つあった。
道は持ち前の記憶能力等で完璧に記録しているため方向を間違え迷う事はない、もんだいは食料だ。
ここらは川が流れていないため魚も取れない、ケモノを仕留めるにしても、武器として使っていたナイフはイノシシのせいで使い物にならなくなっていた。
少なく見積もっても4日かかる帰り道を生きるために、木の実を集めた。
1日目はそれでも良かったが、季節もあり2日目はまったく木の実も無く、飢えを我慢して進んだ。
3日目は本気で空腹に困り、最後の手段、キノコに手を出したのはこの時だ。
どれが危険でどれが安全なキノコかは知識で知っていた。
だが所詮知識だ。
写真や絵では分かりにくいちょっとした特徴の違いで毒キノコを引き当ててしまった。
4日目本気で死ぬかと思った。
嘔吐、下痢、熱。
少し残っていた胃液等はすべて吐き出し、お腹を下し、高熱により体も動かない、何より多くの水分を失い脱水で死にかけた。
やむなく泥水をできる限り濾過したりして飲んだ。
5日目高熱の中息も絶え絶えで山の麓にたどり着いた。
死にかけで家にたどり着くと叔父に腹を抱えて笑われた。
やまを舐めすぎた、優秀だか経験が足りない、命の危機ってのも経験しといて悪いもんじゃない。
軽く叱られた後沢山の飯を食い2日ほど眠った。
叔父があっさりしていたのは孫がどうでもいいのではなく、出来すぎている孫に刺激を与えてやるためだったのだろう。
目が覚めてから風呂の中で行動の最適化をするために、思い返していてふと気付いた。
今までずっと退屈とつまらないしか感じてこなかった。
でも、山で死にかけたり、逃げたりしている時。
悔しくも、思い返している今。
自分が楽しんでいることを。
退屈に感じていないことを。
初めてのあからさまな挫折に心踊らされていることを。
それからは狂うように山に執着した。
長期の休みの間は、反省し最適化した情報を元に山に潜り、ボロボロになるを繰り返していた。
そして中学3年の前半、ついに苦もなく安全に篭れるようになった。
達成感を感じ、やってやったという感情に満たされた。
そして、山の中のサバイバルも刺激ではなく、日常に変わっていった。
いつの間にか退屈に成っていた。
そして、刺激を知ってしまった為か、日常や全てがより一層退屈になり始めた。
この頃だろう、初めての退屈な世界だ、退屈な自分だと深く考えるようになったのは。
そして毎日呟くように成っていた。
退屈だ。と。
こんな退屈な世界も自分も詰まらない。
退屈なら消えたい。と。
思考の海から上がり、風呂に深く浸かり直す。
そして今日もまた、呟く。
変化を求めて。
「退屈だ。いっそ消えてしまいたい。」
その時…‼︎
祝福の声が頭に鳴り響く。
「それは人生から?それとも…。
こんなつまらない世界から?」
自分を退屈から解き放つ、ソレ(・・)の声が……。
どうでしたか?
嘘でも良いので面白いと言ってください。