Section8
俺は、さっきのこと振り返りながら思ってた。
次、ミキさんにあったら話そうって。
そしたらそれから一週間後くらいに、ミキがレジにいるのを見かけたんだ。
俺は相変わらずもやし10袋くらいをかごに入れてレジに並んだ。
ミキは普通に気づいてくれてていつものように言った。
「またもやしですか…」
「すいません…」
「袋入れておきますね」
「ありがとうございます…あの、ミキさんは何時に終わりますか?」
「何?ナンパ?こんなおばさんに?」
「真面目な話があるんです」
さすがにミキさんも俺の気持ち察してくれたみたいでさらっと答えてくれた。
「今日は7時だけど…」
「じゃあ俺、7時過ぎにデパート出てすぐのとこの公園で待ってます」
「え、ちょっと、あの…」
返事は聞かずに行こうとした。でも、ミキさんは「バイト頑張ってね」って言ってくれた。
俺のバイトは6時で終わったけど、なんというか、結構ドキドキしてた。
20年ぶりに二人きりで話すんだから、無理もないかもしれない。
それに、今と前ではいろんな意味でぜんぜん違った。
結局7時まですることがないので、ゆりを誘って二人でアイスを食べてた。
もちろん俺のおごりだ。
ゆりは7時前くらいに、気を利かせてくれたのか、「私もう帰るから」って言って帰ってった。
でもやっぱり、理由とかは聞かれなかった。