Section7
俺は、この前言ったとおりサービスでギョーザをつけた。
ミキも笑って「ありがとうございます」って言ってくれた。
ラーメンも残さず食べてくれてた。
こうきはおにぎりちょっと残してた。
切なくなったのは、こうきがおにぎり残してたからなのか、そうじゃなかったのか今じゃよくわからないよ。
ミキとこうきがおいしそうにラーメン食べているところを、俺は黙って見てた。
時折、こうきがこっち向いて手を振ってくれたり、ミキが微笑んでくれるのを俺は笑ってみてた。
顔は笑っているのにすごく泣きそうになったけど、なぜか涙は出なかった。
食べ終わってからミキが食器を返しに来てくれた。
俺は何か言わなくちゃ、って思ってた。でも、うまく言葉が見つからなかった。
それでも、何か言ってみようと思ってがんばったんだ。
「あ、あの…」
「はい、なんですか?」
とっさに口から出てきた言葉はこうだった。
「生まれ変わりって、信じますか?」
「はい!」
即答だった。
驚くまでに、即答だったんだ。
だって、普通同じデパートに勤めてる高校生がこんなことを言ったら引くはずだ。
でも、ミキは迷うことなく「はい!」って言ってくれたんだ。
その時、続けて俺は言わなくちゃって思ってた。
俺がこうきだってこと。
好きだったこと。
そして、先に死んでごめんってこと。
でも言えなかった、言う勇気がなかった。
ミキは最後に「それじゃ、また来ますね。ごちそう様でしたー」って言った。
結局その時はいえなかった。
ミキが見えなくなってから、裏に行って始めて泣いた。
本当に、その時初めて涙が出たんだ。
今まで、小学生のときからの思いとか、そういうのが一気にあふれ出てきて号泣だった。
こんなに泣いたの小学生以来だ、って思った。
一緒にバイトしてた女子高生からはすごく心配された。
その子はゆりって名前なんだけど、すごくいろんなところで助けてもらってる。
最初にゆりは、俺が泣いてるときにいってきたんだ。
「私、一人で大丈夫ですから泣き止んだら出てきてください」
「あ、はい、ありがとうございます…」
俺は泣きながら答えてた。
正直、女の子の前で泣いてるなんて恥ずかしかったけど気持ちが抑えられなかったんだ。
でもやっぱり、ゆりは笑顔で言ってくれてて、すごく救われた気がした。
一緒にバイトやってた子が、この子でよかった。
その日、バイト終わった後、ゆりにアイスおごらされた。
「私、一人で大変だったんだからね…」
「あ、ごめん…」
「あー、ストレスで死んじゃいそう…」
なんかかなり小言で愚痴られてたんで、おごるしかなかった気がする。
でも、泣いている理由とか聞かれなかったし、その時はすごく助かったんだ。