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Story of the strange past life  作者: emiru
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Section3


家に帰ってからのことだ。

父さんが最初に重い空気の中、母さんに言った。

「おい、ちょっと二人にしてくれ」

母さんは相変わらず目がはれてたけど、買い物に出かけていった。

俺は母さんが出かけた後、父さんに全部話した。

「俺、前世のこと思い出す前からデジャブみたいなことがあるんだ」

「それは本当のことか?」

「うん、小4のとき事故にあって思い出したんだ」

「それはどんな前世だったんだ?」

俺は父さんにありのままのことを話した。

ベッドで目が覚めるまで、ずっと前世の記憶の夢を見てたこと。

それが、父さんも俺も今髪を切りにいってる床屋の親父さんの息子視点だったこと。

その時の思い出とか、前世で事故にあったときのこととか。


父さんはたまに「うん、うん」って相槌入れながら聞いてくれた。

俺、途中からすっごく泣いてて、父さんも涙目だった。

父さんは相槌打ってる途中、何か思い出すような感じで俺の話を聞いてたんだ。

俺は全部話が終わってから父さんから聞いた。


前世の俺の父さんのとこには息子がいたこと。

その息子は高校生のときに交通事故にあって亡くなってしまったこと。

そのせいで、前世の俺の父さんたちは床屋をやめそうになったこと。

そして、俺の言っていることが全部、父さんが床屋の親父さんから聞いた話と一致すること。


二人とも言い切った後、無言だった。

たぶん、二人でそのときのことを思い出してたんだと思う。

すごく長く感じたけど10分くらいだったかな。


しばらくして、さっきと同じように父さんが口を開いた。

「先生にな、ビデオを見せてもらったんだ」

「ビデオ…って?」

「面談の時のだ」

俺は黙り込んだ。

なんて言われるのか怖くて、口が開けなかった。

だけど父さんは怒ることなくこういった。

「お前、あんなしゃべり方するなんて父さんびっくりしたよ」

「え?」

確かに小学生なんてあまりうまく敬語とか使えないのに、あんな流暢に話してたらびっくりするけど…

俺の話し方について、俺の態度については父さんは怒らなかった。

むしろ今みたいにほめてくれた。

父さんは話を続ける。

「母さん心配性なところあるけど、いつもお前のことだけ考えてる。それは知ってるな?」

「うん…」

「別にお前が悪いって言ってるわけじゃない、それにお前がうそついてるようにも思えないからな」

「うん…」

「お前は小さいときから大人びてる気もしたし、母さんもそれは知ってた。ただ、母さん泣かせるようなことはするな」

「はい…」

俺は相槌を打つことしかできなかった。

でもやっぱり、母さんもどこかわかってたのかもしれない。

だけど、なかなか信じられなかったんだと思う。

なんとなくだけど、父さんが母さんを大切に思ってる気持ちが小学生の俺にもしっかり伝わってた。

「最初から話してくれるか?」

「うん」

俺は、もう一度最初から話した。

父さんもさっき以上にリラックスして聞いてくれて、話してる俺のほうもさっきより気楽に話せた。

一通り話し終わって、またしても父さんが言ってきた。

「お前は、どうしたい?」

「え?どうしたいって?」

「これからのことだ」

「これからって…俺はただ父さんと母さんに理解してもらいたかった。だって父さんと母さんは、俺の父さんと母さんだから。それに俺は俺だから」

最後はもうわけわからなくなって、よくは覚えてなかった。

だけど俺はずっと、理解してもらえたうれしさで「ありがとう、ありがとう」って何度も言ってた。


一方の母さんには、父さんから話しておく、ってことになった。

その日は母さんと何も話さなかったけど、次の日の朝母さんは普通だった。

父さんが会社に行くときこっそりと小声で、「母さんもわかってくれたぞ」って教えてくれた。

そのあと俺、母さんに「ありがとう、俺母さんの子供ですげーよかった」って言ったんだ。

そしたら母さん、泣きながら抱きしめてくれたよ。俺はほんとにいい両親持ったと思う。

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