Section12
その夜、案の定ミキから電話が来たんだ。
いろんな話をした。
次の日学校だったけど、そんなのどうでもよかった。
俺はまず、一番聞きたいことから聞いた。
「あのさ、俺が死んでからのこと教えてくれるか?」
「こうきが死んじゃってからのことか…」
「あ、いや、話したくなかったらいいんだけどさ」
「いいよ、大丈夫、話すから」
そういってミキは一生懸命に俺に伝えてくれた。
「私、寂しかった、こうきがいなくなって本当に悲しくて寂しくて、どうすればいいかわからなかった」
「ごめん、本当にごめん…」
「ううん、こうきが悪かったわけじゃないから」
「でも、俺が悲しくさせてしまったのは事実だろ?」
「そうだけど…でも、私はこうきが悪いとは思わない」
電話越しだけど、ミキの声は俺の頭の中で響いてた。
本当に、ミキに申し訳ないことした、ってずっと思ってたんだ。
「私がこうきのご両親に会いに行ったとき、私以上にこうきの両親は悲しんでたと思う」
そうだった。
俺の前の両親のほうが悲しんでたのかもしれない。
実の一人息子を失って、どんな気分だったのだろうか。
それから、どんな気分で床屋をやってきたのだろうか。
「でも、やっぱり、私はこうきがいけない訳じゃないと思う」
ミキは続けた。
「やっぱりそれが、運命だったなら受け止めるしかなかったから」
「確かに、そうかもな」
ミキはそうやって俺が死んだことを受け止めたんだ。
現実を、受け止めるしかなかったんだ。
「聞かせてくれてありがとう、それで、今の旦那さんとはうまくいってる?」
「もちろん、うまくいってるよー」
「具体的に言うと?」
「それは秘密ー」
だよな…
でも、うまくいってるみたいでよかった。
これは後から知ったことだけど、ミキの旦那さんは俺の前世の同級生っぽかった。
ほとんど話したことなかったやつだけど、ミキを幸せにしていて何よりだ。
それから俺は、こうきの事を聞いた。
「こうきはいつ生まれたんだ?」
「ええと、今6歳だから6年前かな」
「こうきは、母親ににて品行方正だよな」
「そういってもらえるとうれしいよー」
話を聞くと来年小学生らしい。
ミキからも、たまには遊んでやって欲しいって言われた。
やっぱり電話で話してても、ミキはミキだった。
本当に話してくれてるとき幸せそうで、心からそう思えた。
そんでもって、またラーメン食べる約束までしてくれた。
でも、まだ、前世でもまだ伝えてないことがあった。
ずっと言えなかったことだったんだ。
「ミキ、最後に一つ聞いてくれ」
「なになにー?」
「あのさ、俺、お前のこと好きだった」
「そんなこと…」
「え?」
「そんなごと、わがってるよぉ…」
また泣かせてしまった。
俺は泣かせるのと、泣くのが得意っぽい。
「…今さら、おそいよぉ…」
「ほんとに、ごめん!」
「…私も、…大好きだった」
「ああ、ありがとな、本当に迷惑かけてごめん!」
なんか、本当に、ドラマみたいな展開でベタだったけど、今ではいい思い出です。