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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
花梨&英利奈2
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英利奈の休日

 連休、それはなんて素晴らしい響きだろう。


 きょう、私は休日で、借りているマンションには徹夜勤務明けの後輩、百合丘花梨が訪問している。ともに会社員兼イラストレーターという身で、色々と教えを乞いに来たようだけれど、私が教えられることなど特にない。強いていえば、イラストは描かれているものの生涯や、風景の一瞬を切り取った写真のようなものだということくらい。


 その他、創作物には娯楽のみでなく、多様な可能性が秘められている、とか。


 私たち駅社員は土日祝日無関係のシフト制勤務だから、週休2日でも連休にはならない場合が多々ある。


 そんな中、本牧は急な出張で衣笠さんと仙台の車両基地へ。ついでに休息ということで事実上の5連休。私もたまには福島でひとり、湖畔を眺めながらたそがれていたい。


「わっ、フツーにうまい。あ、美味しいです」


「ありがとう。このくらいならいつでもつくれるわよ」


「職場での料理もいつも美味しいですよね。私もつくれるようになりたいな」


「あら、なら後でやってみる?」


「わー! ほんとですかー! やってみたいですー!」


「わかったわ」


「わーい! お願いしますー!」


 女子独特のわざとらしいリアクション。彼女は今、本当にやってみたいと思っているのか、軽はずみな発言に後悔しているのか。


 花梨はあまり親の手料理を食べて育たなかったそうで、職場で振る舞われる料理の数々によく驚く。彼女の言動や行動パターンはベテラン社員や本牧と比べるとシンプルでわかりやすい。けれど時々雌豹のように、何かを企んでいるように見えることもある。


 社会人とはいえまだ一年目の中身はほぼJK。私は母にはなれないけれど、姉のような役割は果たせるのではと思う。本牧が兄、松田助役が父役というのは、私たち3人の中で自然に身に付き、それぞれが自覚している。


 親の愛情は、私も本牧も著しく不足したまま育ってしまったようだけれど___。


 郡山こきょうへ帰っても、実家へは帰らない。そんなことがよくある。


 家族と会うのが億劫だったり、神奈川からすぐに行けるからまた来ればいいかともよく思う。海から山まで日本第3位の面積を誇る広大な福島県には観光スポットが多く存在し、実家に寄ると旅程に不都合な場合も多い。


 故に、どちらかといえば山側で育った私は海側の地域をよく知れず、福島県の海水浴場には行ったことがない。すぐ近くにある湖でさえ最後に泳ぎに行ったのはいつの日だったか。


「あ、そうだ、私、イラストのお話も聞きたかったんだ」


「そういえばそれが目的で来たんだったわね。なら、少し出かけてみましょうか」

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 ただいま小説をメインとした多様な創作活動および構成見直しのため、続話投稿ペースが緩やかになっております。


 これまでになかった企画、新しいタイプの小説を準備しつつ、既存作品は更に活かせるよう取り組んでおりますので、お楽しみにしていただければ幸いです。

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