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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
花梨&英利奈
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鉄道職員という立場

 今回から再び花梨がメインのお話です。

 あ~、やっと終わった~。


 徹夜勤務明けの朝は、青空なのに長い一日が終わりを告げたような、不思議なさわやかさと気怠さがある。


 街はすっかり目を覚ました午前11時。駅構内の人通りはまばら。世間はもうすぐランチタイム。


 クッソねみ。早く帰ってぐっすり寝たい……。


 けどきょうはまだ、家には帰らない。


 勤務する駅から根岸線に乗って横浜駅で乗り換えたのはいつもの横須賀よこすか線東京方面ではなく、東海道線の熱海あたみ行き。


 東海道線といえば、今朝見送ったクソガキはちゃんと国府津こうづに着いたかな?


 川崎かわさき市北部に住む私はいつも根岸線、横須賀線、南武なんぶ線、小田急おだきゅう線を乗り継いで通勤している。


 東海道線沿線は人口が多く、更に観光地が点在しているから、地元住民と観光客で電車、特に温泉地を2ヶ所通る熱海行きはほぼ終日混雑している。


 時間はかかるけど、大船おおふな回りで行けば良かった。


 元々同一路線で日本最古の鉄道路線でもある根岸線と東海道線は横浜駅と大船駅の二ヶ所で合流していて、横浜乗り換えのほうが目的地に10分くらい早く着く。だけど空いている吊り革を探さなきゃいけないくらいの混雑で、乗っていて疲れるというデメリットがある。


 対して大船回りだと、根岸線は空席がたくさんあるから、社員の私でも私服姿なら負い目を感じずに着席できる。これ大事。ほんと大事。私服で着席中に非常事態が発生してその対応をしなきゃいけなくなったとき、満席の電車で座っていたら周囲から社員としてのモラルを問われる。


 疲れているからと言い張ってもそれはお客さまも同じ。全員が座れるくらいの運行本数を確保しろって話になる。


 でも鉄道会社は企業だから、コンプライアンスに抵触するほどの混雑でなければ収益確保のために必要最低限の運行本数にしているとういうのが現状。でもからだが不自由な人とか体調不良の人もいるし、そういう考え方ってどうなの? って思っていたりする。でもみんな座れるくらい増発するとたぶん業績悪化で社員のボーナス減るし、なんだか複雑。


 こんなことを考えるようになったのは、社会人になってから。それまでは電車で立っているひとが大勢いるなんて当たり前で、改善する必要性を感じてなかった。


 本牧さんみたいにプロとして、または野心で会社や業界を良くしたいなんて想いが、どっちかといえば受け身気質な私にも芽生えてきたのかもしれない。


 けど混雑を緩和したいと思う最たる部分は日々の疲れ。


 うちの駅の勤務体系は労働基準法の上限をはるかに下回り、残業をすれば割増賃金が支払われる、いわゆるホワイト。それでも仕事あがりはクタクタで、電車に乗ったら座りたい。その望みは多くの人に共通するからか、横浜駅を発着する電車ではよく椅子取りゲームが開催されている。


 そんなこんなで最後部車両の隅っこに背を預け立ったまま電車に揺られ30分。あのサザンオールスターズ発祥の地、茅ヶ崎に到着。きょうは絵の勉強をするために急遽えりちゃんと会うことになった。ツンツンしているけどオフにもかかわらず私のために時間を割いてくれるあたり、なんやかんやで後輩想いの良き先輩だと思う。


 よし、イラストレーターとしての自分も成長するために、ここらでいっちょ気合い入れますか。

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