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未来がずっと、ありますように  作者: おじぃ
仙台帰省・宮城の旅
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4ヶ月ぶりの仙台

『ご乗車おつかれさまでしたー。終点の仙台に到着で~す』


 11時14分。列車を降りて、防音壁に囲われた薄暗いホームにまばゆく光る黄緑色の売店キヨスクに目を奪われる。新幹線では仕事や恋愛の心配で疲れてしまい、東京駅からの2時間弱をほとんど眠って過ごした。


 人混みに紛れ、電車や駅構内から発せられる空調設備の音や音声ソフトによる透き通った声の女性の案内放送が響く乗り場からエスカレーターで下ると、土産物や駅弁の売店や書店が並ぶ改札通路がある。そこを真っ直ぐ進んで改札機を通り、またエスカレーターを下って2階の空中通路から高層ビルが建ち並ぶ街へと出られるようになっているのだけど……。


 あれ? きっぷどこに入れたっけ?


 改札機の前、私は他の人の邪魔にならないよう通路の端に避けてポシェットの中を探す。今日はシウマイや鳩サブレ―など横浜みやげをぶら下げているので嵩張かさばり動きづらい。


 あぁ、きっぷの代わりにスマートフォンの電子マネー&チケットサービスにしてるんだった。上京の際、新幹線車内で気合い注入のために拳を握ったらきっぷを握りしめてしわくちゃにしてしまい、東京駅と大船駅で駅員さんに事情を説明したら‘子供じゃないんだから’と怒られたのと、電子マネーは首都圏や東北地方のローカル線でも使えるし、同エリアなら多くのお店や自販機でのお会計がタッチ一秒で済むから何かと便利という理由で登録した。私、名前が未来だけに未来的な生活。なんちゃって。


「はぁ……」


 疲れてるなぁ。きっぷ買ってないのも忘れるなんて。


 もう、イヤになっちゃう。こんなんで人を幸せにするウエディングプランナーなんてやって行けるのかな。


 改札機にスマートフォンをタッチして無事新幹線乗り場から出た私は、木製のテーブルがお洒落な駅舎内のカフェで鮭とイクラの『はらこめし茶漬け』に舌鼓を打ってから街へ繰り出した。せっかくの地元。学生時代によく通っていた駅前のパルコやアニメショップに立ち寄り、目の保養をする。きっと少し表情が緩んでいたり、ウキウキしているのが他の人から見てもわかると思う。


 こういう人を、日本では変人と呼ぶ……。


 駅前の大型店舗はどこも混み合っていて、私の姿を多くの人が目にしただろう。


 何はともあれ、4ヶ月ぶりの仙台は久しぶりというより、まるで昨日もここにいたかのように故郷を出た私をすんなり受け入れてくれた。


 お店巡りに満足し、そろそろ実家へ帰りたいところだけど、今日はその前に高校時代からのお友だちと会う約束をしていて、そのために朝早く大船おおふなの家を出た。


 待ち合わせの14時まであと15分。駅の空中通路に戻り、ロータリーを挟んで正面に建つビルの大型モニターから流れるスペースシャワーTVの邦楽ランキングを眺めながら、彼女を待つ。


 時間までに来てくれるかなぁ。遊ぶ約束をすると毎回遅刻して、いつか注意しなきゃと思いつつ、喧嘩になったり仲がもつれるのが怖くてずっと何も言えていない。でも、独りぼっちになった私に声をかけてくれた、頼もしくてとても貴重な存在だ。

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 3日連続の更新となりました。


 次回、またまた新キャラ登場です!

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